愛に外出禁止令が出されて数日が過ぎた。真撰組が訪ねて来たり、愛の銀時の呼び方が"銀"になったこと以外は何事も無く、愛も思いのほか大人しかった。 『銀、それ取って。』 「ん、はいよ。そういえば何で銀さんの呼び方変えたの?」 『銀だと1文字でしょ?呼びやすいから。』 「ふーん。」 一旦会話が途切れる。愛はジャンプを読んでいて、やはり大人しい。 「愛ちゃーん。」 『何。』 「大人しいね。もっと反発してくると思ったんだけど。」 『反発して欲しいの?』 「いや、それは困る。」 『ならいいでしょ。』 「あー、まあ、そうだけど…」 『…あたしも少しはしゃぎ過ぎたわ。』 「あ?」 『春雨から解放されたからってハメを外し過ぎてた。居候の身なのに。だから反省してる…』 ああ、こっちが愛の本性か。遠慮に遠慮を重ねて我が儘のわの字も無い。人形として過ごす内に心を押し殺すようになった、みたいな。自分を完全に失わないための、せめてもの自己防衛。 「なーに大人ぶってんの。」 『ぶってない。』 「そんなんだからいっつも年上に見られるんだっての。」 『どうせ老けてるわよ。』 「全国の本当に老けちゃってる人達に謝れ。」 は?と言いたげだ。おま、老化は永遠の難題なんだぞ。アンチエイジングが流行ってるんだぞ。 「ま、若いうちは出歩くべきだよな。」 『?』 「出掛けるぞ。」 ご褒美 --------------------------- 『え、いいの?』 「銀さんからのご褒美。つっても依頼に付き合って貰う感じだけど。」 『贅沢は言わないわよ。まあ、その…ありがと。』 「どういたしまして。」 Back |