Way U 




「今日は新しいエクソシストが来るみたいね。」

「はい。どんな方か楽しみです。」


僕とリナリーは新しく教団に入ったエクソシストを出迎えに行く。

どんな人なのか全く聞いてないため少しドキドキする。


「あ!あの子みたいね。」


リナリーにつられて同じ方向を見た僕は目を疑った。


『こんにちは
今日から教団に入っ...』

「夢!?」

『ア、アレンくん!』


数ヶ月振りの再会。

真新しい夢の団服。

その胸にはローズクロスが輝いていた。


  * * *


「皆揃ったみたいだから紹介するね。彼女は夢ちゃん。」

『は、初めまして!夢と申します。』

「夢ちゃんはクロス元帥推薦のエクソシストなんだよ。」

「え! クロス元帥の!?」

『はい。』

「よ、よく無事だったさね...」

『優しい方でしたよ?』


コテンと首を傾ける夢を見て、悟った。

"ああ...毒牙を抜かれたんだな、クロス元帥"



「おい」

『? はい。』

黙っていた神田が不意に口を開いた。


「お前がいつ死のうが俺には関係ないが、足引っ張るような真似すんじゃねえぞ。」

「ちょっと神田!」

「おい、ユウ!いきなりそれはねーさよ!」


「うるせえ。戦えねえ奴が戦場出て何の意味があんだよ。」

流石に黙っていられず、僕も声を発した。


「神田、それは酷いで...」

『戦えます。』

「え...?」

『私も戦います。亡き両親に、そして自分に誓いましたから。御迷惑を掛けないように足手まといにはなりません。』

「!」

「ほお...」


その雰囲気からは想像出来ないくらい、夢はしっかりした口調で言い放った。


「おもしれえ。」

『え?』

「その意志にお前の力が相応しいか見物だな。せいぜい死なねーことだな。」

『は、はい!』


そう言い残すと神田は鍛練場に行ってしまった。


「あの神田が...」

「"死なねーことだな"...?」

「...明日は槍が降るかもしれないわね」

『あの...私、何かしてしまいましたか?』

「いや、夢は悪いことしてないさよ!」

「そうよ。むしろ凄いわ。あの神田に初対面で認められるなんて!」

『そうなんですか...?』

「うん。流石クロス元帥が見込んだ子だよ。」


次々に褒められ、夢は照れ臭そうに顔を赤くした。


「コムイさん。」

「ん? 何だい、アレン君。」

「夢が荷物を持ったままなので、部屋に案内しても良いですか?」

「ああ、そうだったね。じゃあお願い出来るかな?」

「はい。夢、行きましょう。」

『あ、はい!』


アレンが部屋を出て、それに続いて夢もコムイ達に一礼して部屋を出た。


「もしかしてあの子が...」

「アレン君が言ってた "守りたい子" ...?」


  * * *

「荷物、持ちますよ。」

『重いからいいよ?』

「重いなら尚更持たせて下さい。」

『あ、ごめんなさい... ありがとう、アレンくん。』

「どういたしまして。」


夢は教団に来たばかりで慣れていないということもあり、部屋は食堂の近くだった。


「食堂に近いですね。羨ましいです。」

『ふふ、アレンくん沢山食べますからね。』

「僕の部屋も移動したいです。夢の部屋の隣に。」

『アレンくんの部屋は食堂から遠いの?』

「いえ、近い方ですよ。夢の部屋の隣になりたいのは、夢に変な虫が付かないように...」

『え?』

「気にしないで下さい。こっちの話です。」

『う、うん。』


ガチャリとドアを開け、夢の部屋に入った。

今はまだ何も無い部屋だけど、だんだん夢好みの部屋になっていくんだなと考えると自然と頬が緩んだ。


「荷物、ここに置きますね。」

「あ、うん! ありがとう。」

「どういたしまして。」


夢がソファに座ったので、僕も少し遠慮がちに隣に腰を下ろした。

夢はふんわりと微笑んでくれた。


「いつからエクソシストに?」

『えっと、あれはアレン君が行って2週間程経った日のことかな...』



  * * *


その日もいつものように街に買い物に行きました。

でも何故か街の方が騒がしいんです。

どうしたのかと思い、駆け付けてみると、


『アクマっ...』


両親を殺したものと同じタイプのアクマが街の人達を次々と殺していました。


「きゃああぁ!」

「人間ハ雑魚イナ〜。エイッ♪」

「ぐわっ!」


まるで地獄絵図でした。

私の体は強張り、震え出しました。


「エイッ。」

「ぐあぁ!」

『やっ...』

「オリャッ♪」

「がはっ!」

『や..めて...』

「モウ1発♪」

『やめてえぇぇっ!!!』


 カアァァ

 ドシュッ


「ギャアアァ!!」


私が叫ぶと突然光に包まれ、体に浮遊感を感じました。

アクマの叫び声が聞こえ、光が収まってから目を開けると、状況が一変していました。


『何これ...』


アクマの残骸、それには無数の白と黒の羽根が刺さっていたのです。


『な、何が起きたの?』

「お前が適合者か。」

『!』


不意に聞こえた声に顔を上げると、赤い髪をした団服に身を包んだ男の人が立っていました。


『貴方は...?』

「俺はクロス・マリアン、エクソシストだ。適合者を探しに来た。」

『適合者...』

「ああ。それがお前だ。」

『私?』

「自分の背中を見てみろ。」


彼の言う通りに自分の背中を見てみると、そこには白と黒の羽根が生えていたんです。


『え!』

「寄生型のイノセンスだな。何か思い当たる節はねーか?」

『思い当たる...? 物心付いた時から背中には痣がありましたが...』

「おそらくそれだ。体に宿し続けていたイノセンスが今になって覚醒したんだろ。」


信じられませんでした。

私が適合者だったなんて...


「来るか?」

『え?』

「お前は力に目覚めたばかりで、まだまだ使い熟すことはできねえ。修業するために俺について来るか?」

『修業...』

「戦う力を手にしてーか?」


その時 頭に浮かんだ両親の顔、そしてアレン君。

私は心の奥で悔いていた、自分が両親を救えなかったことを。

心の何処かで羨ましかった、戦う力を持つアレン君が。


『...教えて下さい。』


私の心は決まっていた。


『私に戦い方を教えて下さい!』

「フッ、いい目だ。お前の名は?」

『夢です。』

「よし、夢。行くぞ。」

『はい!』


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『こうしてクロス元帥と出会い、修業し、エクソシストになりました。...アレン君?』

「夢も...寄生型なんですね。」

『え? うん、そうだよ。』

「辛くないですか?」

『どうして? アレン君も寄生型じゃないですか。』

「僕は男ですけど夢は女性... 体で戦う寄生型は装備型以上に危険ですよ? 傷だって...」


僕がそう言うと、夢は黙り込んでしまった。

やっぱり不安なのかなと思っていると、


『...ふふっ』

「!」

『ふふっ、やっぱり。』

「...?」

『やっぱりアレン君は優しいです。』

「え...」

『自分よりも他人優先、クロス元帥の通りです。元帥は"甘ちゃんだ"って言ってましたが、"優しい"のちょっとした言い換えですね。』


"甘ちゃん" か...

師匠が言いそうだ。


『戦場にいる限り、傷付くのは皆一緒です。』

「でも...」

『私も戦いたいんです。亡き両親のために、平和のために。...アレン君の傍に居るために。』

「!」


真っ赤になって僕に背を向けてしまった夢。

そんな彼女が可愛くて、愛しくて、僕は背中から抱き締めた。


『ア、アレン君っ』

「僕も、」

『...?』

「夢には戦場に出て欲しくないのに、僕も夢に傍にいて欲しいです。ははっ、矛盾、してますよね。」

『!』

「だから、一緒に戦場に立って下さい。何があっても必ず僕が守ります、夢。」

『アレン君... はいっ!』


戦場でも汚れない綺麗な君でいて欲しいから、君に笑っていて欲しいから。

僕は誓う、"君を守る" と。


僕らのWay(道)に光あれ。


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『そう言えば、さん付けじゃないですね。』

「え?」

『"夢" って呼び捨てしてくれたから。』

「す、すみません! つい...」

『ううん、いいんですよ。むしろ嬉しい。』

「夢...」

『ふふっ。』

「じゃあ夢も君付けはやめて下さい。」

『分かりました、アレ...
 バーンッ

「ちょっと待つさー!」

「もやし、てめえ...」

「やるわね、アレン君。」

『ラビさんに神田さん、リナリーさんも!』

「1番最初に好きになったのは僕です。ラビや神田になんて渡しませんよ(黒笑」

「ずるいさ!」

「チッ...」

「モテモテね、夢。」

『えっ? ど、どういうことですか...?』

「夢は気にしなくていいですよ。」

 チュ

『!』

「「アレン/もやしー!!」」






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