かぐや姫






昔々、それは満月が美しい夜のことだった



「クフフ
さあ、雪姫を出しなさい」


「本当の娘のように大切に育ててきた雪を渡すか!!」


「それは困りましたね...
では力ずくで奪いましょう」



 ヴゥン

天人の中でも王と思われる特徴的な髪をした男、骸の瞳が怪しく光った



「なっ! 体が...」


「動か..ない...」


「くっ...」



翁である家光は護衛として
部下の門外顧問チームを呼んでおいたが
骸の力により動きを封じられてしまった


骸の目が再び光ると
嫗の奈々に抱き締められていた雪姫はその腕からするりと抜けて
天人の前に呼び寄せられてしまった



「月へ帰りますよ、雪姫」


『私、帰りたくないっ!』


「おや、良いんですか?
こちらの世界へ未練があるが為に帰りたくないと言うのなら
こちらの世界を滅ぼしてしまいますよ」


『っ! そんな...』


「クフフ、人間界殲滅なんて簡単ですよ
さあ、帰りましょう」



もうどうする事も出来なかった


雪姫は涙を堪(こら)えて家光と奈々に向き直った



『家光さん、奈々さん
溢れる程の愛情をありがとうございました
何も孝行出来なくてごめんなさい...
今までお世話になりました』


「雪ちゃん!」


『さようなら
どうかお元気で...』


「雪!
行かないでくれっ!!」



翁と嫗の悲痛な声に後ろ髪引かれながら
骸の方へ踏み出そうとした



『帝にはせめてお手紙だけでも書きたかった...』


「その必要は無いよ」


『!』


「おやおや
邪魔者が来ましたか」


「この国は帝である僕の縄張りだ
邪魔者は君だよ」


「ほう?」


「雪を月になんて帰さないよ」


『恭弥...』


「クフフ...人間風情が
君も天人の力に平伏しなさい」


『や、やめて!』

ヴゥン


右の赤い瞳が光ると同時に
巨大な火柱が上がった


だが、


「甘いよ」


「何っ!?」



雲雀は火柱を軽々と避け
愛用の武器 "トンファー" を構え
一気に間合いを詰めた



「僕は今、機嫌が悪いんだ
誰も止められないよ」


ヒュッ ガ ガッ


「キャン!」


「っ!!」



骸の後ろに控えていた2人の天人、犬と千種が殴り飛ばされた



「最後は君を...咬み殺す」


「ぐはっ!」



圧巻だった


人間が敵う筈のない天人を
雲雀は圧倒的な強さで倒した



「雪」


『は、はい!』


「絶対に君を離さないから」


『〜///』



ついに帝の求婚を受け入れた雪姫は
人間界で生涯幸せに暮らしましたとさ



おしまい♪



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『恭弥..
そんなにくっつかなくても...』


「離さないよ
またあいつが連れ戻しに来るでしょ」


『え?』



 バーン!


「雪姫、迎えに来ましたよ!」


『あ...』


「懲りないね、君」







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