「黒子っちー!」

『重いです黄瀬君。』

この1軍用の体育館も騒がしさが増したと思う。今日も黄色い駄犬が尻尾を振り回しながら俺の相棒に付きまとってやがる。

「黄瀬、零から離れろ。」

「いやッス!まだペロペロし足りないッスよー!」

『やめて下さい減ります。』

「オラッ、さっさと離せ。」

ガムテープの如くへばり付いていた黄瀬をべりっと剥がして捨てる。解放された零はやれやれと首を回した。

『ありがとうございます、青峰君。もう少しで首が折れる所でした。』

「お前もちょっとは抵抗しろよ。イグナイトかましてやれ。」

『ずる賢いことに黄瀬君は背後から突進して来るんです。それじゃイグナイトは発動できません。』

「チッ…無駄に頭使いやがって。」

『ええまったく。』

黄瀬は赤司の命により体育館の外へぶん投げられていた。零をペロペロしていいのは僕だけだ、という台詞は聞き流しとこう。

「そーいや零、お前この前の試合あんま俺にパスくれなかっただろ。」

『そうでしたか?』

「いつもより3回少なかった。」

『よく覚えてますね…』

「当たり前だっつの。」

零に関することならな。どんな些細なものも失いたくないんだよ、俺は。お前がいるから俺は「俺」でいられる。

「零のパスが1番しっくりくるんだよ。」

『そう言って貰えると嬉しいです。』

「もっと自信持てよ。なんたってお前は俺の相棒なんだからな!」

光と影と同じ、空と海も切り離せない。つーか手離すつもりなんてさらさらねえけどな。



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「黒子っちー!」

「…うるせえのが来た。」

『もう復活したんですか、黄瀬君。』

「赤司っちに校庭20周してこいって言われたんスけど、黒子っちのために全速力で終わらせてきたッス!」

「じゃあその勢いのまま2on1付き合えよ。」

「え、2on1…?」

「俺と零対お前だ。」

「ええー!?何スかそれ!いじめ!?」

『頑張りましょう、青峰君。』

「ああ。再起不能にしてやろうぜ。」

「そんなー!!」





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