※ボカロ「空想フォレスト」パロディ


町外れの森の中、人目に付かない場所に1つの家がひっそりと立っていた。

「あそこには悪魔が住んでる。」

「アイツと目を合わせたら最後、青い炎で燃やし尽くされるんだ。」

常々そのようなことが囁かれているため、その家に近付く者は居なかった。…ある1人を除いては。

トントン

「すいません。」

ノック音は思ったよりも響いた。ガチャン、バタバタ。ティーカップか何かを倒した音と驚き慌てる足音だろうか、なんとも賑やかだ。

鍵を閉められてしまう前に突入をかける。すると、闇色の髪の少女が目を塞いでうずくまっていた。

「どうし『来るな!俺の目を見たら死ぬぞ!』

少女は男のような口調で声を荒げる。

「目を見たら何で死ぬの?」

『炎が…青い炎が…』

「青い炎?」

『…暴走するんだ。』

隙間無く重ねられた手の下の瞳は一体何色なのだろうか。雪男は何故だか無性にその瞳を見てみたくなった。

「手、退けてよ。」

『…は?』

「だから退けて、手。」

『お前馬鹿か?目ぇ見たら死ぬんだって!俺の話聞いてたのかよ!?』

「誰かを殺めたことがあるの?」

『それはっ…無い、けど…』

「じゃあ大丈夫でしょ。」

『あ!』

漸く露わになった瞳は、吸い込まれそうな深海のようで。思わず見入ってしまったが、青い炎に包まれることは無かった。

「ほら、やっぱり大丈夫だ。」

『あ、あ…』

「綺麗な目だね。」

真っ赤に染まり始める彼女の手を掴み、外の世界へ連れ出した。



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「僕は雪男。キミの名前は?」

『えっと…零、だけど…』

「零ね。これからよろしく。」

『?』

「今日から零は僕のものだから。」

『えっ!』

「本の中の空想じゃない本物の突飛な世界を見せてあげる。」





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