屋根の上、迫り来る殺気を感じた私は素早く後方に跳んだ。


ガシャアン


私が居た所の瓦が粉々に砕け散った。


「...外したか。」

『!』


唐笠を被ったその男が顔を上げた。

私は目を見張った。


『お前はっ...』


忘れもしないその顔。

松陽先生の声が頭に響いた。


『お前が..お前が松陽先生をォォォ!』


ダンッ


"怒りに囚われたまま剣を振るってはいけませんよ。"



『(先生...言い付け、守れそうにない!)』


怒りに任せて斬り掛かった。


ザシュッ


『あァァァァ!!』

「愚かな小娘だな。正気を捨てて勝てると思ったか。」


左目が真っ赤に染まった。

激痛に膝をついた。


『う、ぐっ...くそっ...』

「師と同じ所へ送ってやろう。」

『くそォォォ!』


刀が振り上げられた。

悔しさに叫び、死を覚悟した。


キイィンッ


「ざまあねーな、零。」

『銀時...!』


唐笠の男は距離を取った。


『お前っ、何で来た! あいつは私の獲物だっ!』

「その傷でよく言うぜ。立ってるのもやっとだろ。」

『関係ない! アイツは松陽先生の仇だ!』

「分かってる。」

『なら!』

「だからお前も失うわけにはいかねーんだよ。アイツに大切なモン2つも奪われてたまるか。」

『ぎんっ...』

「構えろ、零。」

『!』

「お前は黙って見てろっつっても聞かねーヤツだからな。 ...2人でアイツを斬るぞ。」


初めてだった。

銀時の背がこれほど頼もしいと思ったのは。


『...勝手なこと言ってんな。』

「な! てめぇっ、」

『お前は今から私の左目だ。』

「!」


刀を構え直す。

ギリ、と 柄が音を立てた。


『行くぞ、銀時。』

「ああ。」


2つの刃が唐笠の男に向いた。


「白夜叉と手負いの鬼兵隊隊長か。 無駄なことだな。」

「無駄かどうかは、」

『私達が決める!』


ダンッ

「『うおォォォ!』」



ふたつ

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死なせるかよ。

大切な女1人守れないなんて、そんな男にはなりたくねー。

あの人を守れなかった分、俺は零を守る。

空(うえ)から見ててくれよ、松陽先生。





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