『サンキュ。流石に自力でこの壁は登れねえからな。』

「…当たり前だろ。」

『ん?もしかしてお前がエレン?』

「は、はい!」

『そっか。色々苦労したな。』


わしゃりと頭を撫でられる。白い腕は見た目とは裏腹に力強くて、自分より頭1つ分高い位置にある顔は整っていて、一見すると華奢な優男としか思えない。でも1つに結われた長い白銀の髪は気高い狼のようで、漆黒と深紅のオッドアイは獅子のようだ。


「あの…名前…」

『ん?ああ、俺?おいリヴァイ、伝えてなかったのかよ。』

「知るか。」

『なんだよーまったく。俺はジズ。よろしくな、エレン。』

「はいっ!」

「お前の回収は済んだんだ。さっさと戻るぞ。」

『了解了解。エレンも出迎えありがとな。』

「あ、はい!」


ドシュッと音がしたかと思うと、兵長はさっさと行ってしまった。俺も急いで後を追おうとして、はたと気付く。


「ジズさん、機動装置…」

『ああ、大丈夫。俺には必要無いから。』

「え?」


どういうことかと尋ねようとした時には既に、彼は兵長に追い付いていて。


『どうしたー、エレン。置いてかれるぜ?』


どうやら俺は物凄い人と出会ってしまったようだ。




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