ウォール・マリアの上、リヴァイに言われるまま此処に来た。地平に視線を固定している彼をあまり刺激しないように、エレンはおずおずと口を開く。 「あの、兵長…」 「何だ。」 「これは演習か何かですか?」 「んなわけねーだろ。」 「で、ですよねー…」 「…」 「…」 「…出迎えだ。」 「え?」 「チッ…」 舌打ちにびくりとなる。出迎え、というワードに様々な疑問が湧いたが、不機嫌なリヴァイに尋ねられるほどエレンは勇者ではない。黙って成り行きを見守ろうと決心した直後、沈黙は破られた。 「壁の外に行きたいと言っていたな。」 「うえっ!あ、はい…」 「壁の外で生きている人間がいると言ったらどうする。」 「えっ!」 「…アイツが帰って来る。」 刹那、眼下の壁に群がっていた巨人が一斉に崩れた。状況を理解する前に目に入ったのは、蒸気の中から姿を現した男。 『ただいま、リヴァイ。』 彼が口を開くのとリヴァイが動き出したのは同時だった。 |