「桜…なのか…?」

『ええ。』

「どうして此処に…」


幾分か伸びた背、女性らしさを増した身体、そして大人びた顔。十年後の姿の桜はやはり着物を纏っていて。瞳は虹色に輝いていた。


『呪われた虹の連鎖を断ち切るため、私はこの代理戦争を征する。』


たった1人の"虹の神"として。


『イェーガー……狩人よ。命を狩るのは楽しい?』

「快楽のために命を屠っているのではない。復讐の邪魔をする者を排除しているだけだ。」

『そう…それを聞いて少し安心したわ。もし、楽しいと答えていたら……』


チラリと、深く傷付いた大切な仲間を見やり、


『怒りのままに貴方を八つ裂きにしていたわ。』

「!」


ドオォン


ショートワープを上回るスピードでイェーガーの懐に入った桜が蹴りを繰り出した。間一髪で防がれるも、想定内と言わんばかりに数本のクナイを投げ、それを陽動に妖刀で切りかかった。


「村正!?あの刀は桜が虹の力を失うと同時に消滅した筈じゃ…」

「今の桜の姿は、完全に虹の神として覚醒した時のものだ。虹の力を失う以前の、あの十年後の世界の桜だ。」

「桜の炎がボス達の所に!」


虹色から黄色に変化した炎が彼らを包み込む。桜は戦いながら、仲間の回復に尽力する。


「っ…完全な虹の神が相手となると分が悪い。」

『時間も限られているし、さっさと決めさせてもら…っ!』

「桜!?」


突然イェーガーから離れたかと思えば、桜は地に膝を付いた。そして咳き込むと同時に血を吐いた。


「なっ!?」

「成る程…外面は変わっても病に犯された身体はそのままというわけか。」

「桜!白蘭達に使ってる晴の炎を自分に移せ!!」

『だ、だめ…彼らの傷が治るまで…』

「終わりだ、虹の神。」

「させるか!」


ズバッ


「ぐっ…」

『ディーノ!!』

「無駄なことを。」


身を呈して桜を守ったディーノから溢れる赤。それを踏みつけて桜に近付こうとしたイェーガーの足下に三叉槍とトンファーが突き刺さった。


「桜に近付かないでくれる?」

「クフフ、僕達が相手になりますよ。」



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