* * *


『…』


縁側に腰掛け、左腕に付けた白い時計を眺める。


『ゴホッ、ゴホッ!』

「あまり体を冷やしてはいけませんよ。」

『風…』

「俺達も居るぜ、コラ!」


羽織を掛けてくれた風に続き、他のアルコバレーノも桜の元へと集まってきた。


「桜様。」

『ユニ…良かった。無事に虹の力が働いたみたいだね。』

「はい。桜様のおかげでこの世界に現れることができました。」

「ム?でも虹の力は失われたんじゃ…」

『万が一に備えて、十年後の世界でユニのおしゃぶりに虹の力を少し入れておいたの。』

「用意周到、といった所か。」


緑色のおしゃぶりのアルコバレーノ、ヴェルデが感心したように呟く。しかし、その間も桜は咳き込み続ける。


「大丈夫ですか?」

『ん、昨日よりは…』

「おい!おまっ、血が…!」

『あ…』


罰の悪そうな表情を浮かべ、赤を隠すように手の平を重ねた。


「…虹の力を失ったせいか?それとも鉄の帽子の男が何か…」

『前者だよ、多分。でも今の私の状態の理由を知るのは、きっとあの男だけ。』

「あいつが言ってた娘って…」

『…私は虹未来家の娘。それ以外の存在じゃないよ。』

「…そうだな。」


リボーンはそれ以上追及しなかった。

桜はそっと手の平を開く。


『戦いが始まる。』



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