腕章を賭けた雲雀とアーデルハイトの戦いは、風紀を背負う雲雀の勝利で幕を閉じた。

現れた復讐者が出した鍵はインクの瓶。見せられた記憶はシモンファミリーが信じ込んできたものとは真逆のもので。


「ボンゴレT世は…シモン=コザァートを助けに行こうとしていた!」

「バカな…」

「てめーもはっきり見た筈だ!T世はコザァートを裏切ってなんかいねえ!!」

「嘘だ!真実じゃない!!」

「だが、T世がコザァートへの手紙のことすら知らないってことは、何者かがコザァートを罠にハメたことになる。」

「!」


T世は戦いのことをコザァートに伝えなかった筈。では誰が手紙を書いたのか。

我関せず、と傍観を決め込んでいた雲雀が僅かに漏れた気配に気付いた。


「そこにいるキミは誰だい?」


ガシャンッ


「おっとあぶね〜。見つかっちまっちゃしょーがねーなあ。」

「ジュリー!」

「あ!クローム!!」


茂みから現れたのはクロームを従えた加藤ジュリー。ツナがクロームを呼ぶが、返答が無い。


「ここまでくればボンゴレ側にも隠すこたねーよな。」

「え…?」

「いいや、むしろ挨拶をした方がいいですね。」


幻覚による化けの皮が剥がれ、その本性が露わになる。


「腐った若きボンゴレ達よ。」

「!」

「骸!?」

「違う…」

「奴は…初代霧の守護者、D・スペード!」

「そんな…こんなこと…」

「常識ではこの時代に存在するなんてありえねーな。正真正銘のD・スペードなのか?」

「信じようが信じまいが、私は存在する。お前のような男が生まれる限り私は在り続けるのです。沢田綱吉。」

「っ!?」



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