※八犬伝、現信


日常の中の非日常


「信乃〜おは…え?」

「んー…」

信乃を起こしに来た現八が見たのは子どもの姿の信乃ではなく、本来の年齢である18歳の姿の信乃だった

思わず現八は扉を閉めた

(いやいやいや、あれ信乃か?あんなでかかったっけ?でも女連れ込んだ覚えはないしあそこは信乃が寝てたよな、あれ?俺の記憶違いか?いやでも…)

と自問自答している。珍しく混乱しているようだ。表情には出ていないが

一方信乃は先程の現八の声で目が覚めたようで起き上がっ ていた

「ん…んー…?え!?」

自身のことながら驚いているのは仕方ないだろう。突然のことなのだから。村雨の呪いが一時的に解けたのだろうか?それはなぜ?

「…あのバ烏、また拾い食いしたな…」

どうやら信乃にはわかっているようだ。どうも村雨は雑食で、拾い食いをする質だ。今回もそのせいで村雨の体に異変が起き、一時的とはいえ 体が元に戻ったのだろう

「どーすっかねぇ…」

村雨は後で絞めることにし、今はこの状況をどうするかを考え始めた。荘介がいればいいのだが、彼はもう教会に行っている。かといってこのままで四家の屋敷に行くのもどうか…

と考えていると扉が開いた

「信乃…だよな?」

「あ、現八じゃん。うん、信乃、俺」

「突然の急成長は置いておこう。俺に合わせて大きくなったんだな信乃!!」

「ちげーよ近寄んな」

あぁ面倒臭いのに見付かった、と軽く頭を抱えている。どうせなら小文吾の方がよかったのに、と

「いや、しかし…」

「ん?」

「予想以上に綺麗に育ったな」

「真顔で何言ってんだ馬鹿」

枕をつかみ投げ付けるが現八はあっさりと受け止めた

「危ないな信乃。だが本当のことだぞ?」

「うっせぇ壊れた大人」

「俺は大真面目だが?」

「それが壊れてるってんだよ」

変わらず真顔で対応に困ることを言う残念な大人だ

「なぁ信乃」

「ナニ?」

「デートするか」

「え?死ぬ?」

「美味しいところ連れてってやるよ」

「…よし、奢りな」

「もちろん」

信乃に何を言われてもものともしない現八。強かすぎるだろう彼は。そうして美味しい食事につられ信乃は現八曰くデートに行くことに。

この2人が町に出ると物凄く目立ったとか




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