※ONE PIECE、ルフィ成り代わり 冬場の女子学生は見ていて可哀相だと思ったのはいつの頃だっただろうか。 中学生では教師の監視が厳しくて、部活帰りの女子しかジャージ姿で武装して帰れない。ビバ、卒業! 義務教育から解放された高校生からようやく自由を手に入れられる。この開放感が堪らねェぜ。 スカート丈を短くするし、冬場になればジャージを穿いての登校など見慣れてしまった。昔が懐かしい教師、ドレーク。 あの寒さに震える曝された足が堪らなかったというのに。 足を熱心に見つめるドレークの額を無言で叩いてみた。くらえ参考書の角クラッシュ!教師だとか恋人だとか関係ない。 常に熱い視線をどこかしらに注がないでください。 セクハラ視線。セクハラビーム。勿論セクハラ返しをしています。触れない教師と堂々と触れる生徒。この場合生徒という地位は有利だ。 好き勝手触れる筋肉祭り!すぐさま拳骨を喰らいますが。体罰反対。 「その恰好でセンターを受けに行くなよ」 「そこまで常識知らずじゃないから!?穿いてかないから!?」 寒さに負けてジャージを穿いてはいるが、大事な試験に常識知らずの恰好などはしない。寒さと戦うよ! あなたが戦うのは試験問題であって寒さじゃありません。暖房機能はフル活用されてるから!きっと!自信を持って言えない寒暖事情。 「女子の制服は冬場の事をもっと考慮して作るべきなんだよ」 「寒さに震える姿がみたいんだろ」 「創始者ドS疑惑!?」 「時間切れだ」 星の手元から過去問題集を引っ張り、答えと照らし合わせていく。 さすがと言うか、この調子なら問題はないだろう。 他の生徒と違い緊張感を持たない所には一抹の不安を抱くことは抱くが、だからと言って大騒ぎされるのも困ってしまう。昼間、星の友人が大騒ぎしていた。 落ち着けウソップー!明日の試験に顔色を悪くしブツブツ呟く友人にラリアットはない。静かになったがラリアットは駄目だ。 暴力的解決方。不安がるあなたのその心、静めてみせます。 ナミがキャッチフレーズをつけて宣伝していたが、ウソップ以外に客は訪れなかった。体験者が泡吹いて倒れてればね! 「星君の心配は一切していなから心置きなく受けてきなさい」 「心配してよ。ドレークさんが心配する顔を見たいのに!」 「俺が心配しているのはテスト開始で頭が真っ白になってしまうコビーと、ロロノアの遅刻だけだ」 「明日皆で自宅に押しかけて連行する予定だよ」 ゾロの遅刻だけは阻止せねばならない。お前この、方向音痴が! 1人で行けると豪語するゾロにもラリアット。ウソップ以外にも被害者はいた。思い、だした!奴は泡を吹かなかったが痛がってはいた。 鍛えられた首にも効果がある星のラリアット。中途半端に喧嘩なんて売れない。 「お前なら平気だって誰も心配してくれないし」 「授業態度は最悪だが成績はトップだからな」 ローとキッドと星での3人が順位争いをするぐらいだ。ローは分かるがキッドまで。博識のキラーを抜く頭脳には首を傾げてしまった。 お前、カンペしてないよな?生徒を信用しなかったクザンは窓から素晴らしいダイブをさせられていた。生徒を信用しましょう。 頬を膨らませ、ドレークを睨み上げてくる星の頭を押さえつける。 ぐ、ぬっ!踏ん張った声は可愛らしくない。 「何を拗ねているんだ」 「エースとかサボとか、ダダン達が心配しないのはいいよ。でもドレークさんは心配してくんないとやだ」 「わがままだな。しかし俺は君がちゃんとできる子だと知ってるからな」 心配仕様が無いと笑うドレークに、もう1度参考書の角を食らわす。クラーッシュ!額に当たる前に手首を捕まれ阻止された。 「ちょっとは心配しようよ。ドキドキヒヤヒヤしようよ」 「どうしても俺に心配してもらいたいのか?」 「だって大学受からないとドレークさんの事を許してくれないって」 エース達が。それは、初耳だ。 ドレークと星の交際は随分前からだが、まだ認めないのかあの星大好き兄達は。 違う、言ってるのはエースとガープだけ!サボはわりとドレークに好意的です。たまに隙を狙ってなにか仕掛けようとしているが。 それは許しているといいません。反対派です、彼は。 「それは心配しないとならないな」 「遅い」 むっすり膨れる星を抱き寄せる。顔を背けるが、直ぐに甘えてきたので優しく額に唇で触れた。 本当はねっちょりとしたキスを唇にしてやりたいところだが、受験が終わるまではとお互い自重することを約束したのでできない。 美味しい餌が目の前にあるっていうのによ!生殺し状態。 「凡ミスをして点数を落とすなよ」 「解答欄の書き間違いとか?名前の書き忘れとか?」 「名前は真っ先に書きなさい。普通だ」 「スペルミスと計算間違いに気をつけるよ」 計算間違いといえばキッドだな。あいつは掛け算を間違えるから恐ろしい。 1×1は2にならない。それ足し算。可愛らしい間違いに、計算を必要とする教科担当は毎回ドキドキとさせられる。 今回は、大丈夫だよな!?小学生のような間違いを試験でしないようにと、九九の表が書かれたお守りをそっとキッドの筆箱に忍ばせていたクザン。 今日も窓から素晴らしいダイブをしていた。1日に1度は跳ぶおっさん。 やっぱり星の心配はできない。星以上に心配の種が多すぎる。 頭を振ってすまないと謝るドレークに、それでも心配しろと無茶な注文をする。奴はどうでもいい!同じ学び舎で育った仲間なのにこの扱い。 「ドレークさんはあたしの心配だけしてればいいんだよ」 他の奴の事など忘れろ。自分だけでいいんだ。大きくでた我がままは怒るべきか、可愛い奴だと愛でてやるべきか。 甘やかせば調子に乗る。愛ではしないが怒る事もせず、いい加減に黙れとキスをして黙らせた。 ※受験生応援フリー配布小説 |