不思議な夢をみました。

フランシスコ・ザビエルに似た姿をした太ったおじさんが

『LOVEとーは、戦なのデース!』

と高らかに叫んでいる変な夢でした。





03《時々月曜日》





おじさんは変な人だった。

私を正座させて愛は素晴らしいとか、入信すれば新しい名前を授けてあげる、だとか。

最後にはなんだか歌い始めてしまい、その声が脳を酷く揺さぶり耳を塞いでいた。


おじさんの酷い声よりもはっきりとした声が全体に響いた。

「つかさよ、大丈夫か?」

おじさんがぼやけていく。

意識がどんどん近くなって、ゆっくりとひらいた先には笑顔の松寿丸さんがいた。

「う・・・うぇ・・・?」

「うむ、うなされていた為に起こしたのだが・・・」

と棘のない言葉で未だ眠気の取れない私の上半身を片腕で優しく起き上がらせた。

「松寿丸さん・・・・・・ですよね?」

昨日とは違う声色、表情、瞳。

大雑把かもしれないが昨日の松寿丸さんとはまったく間逆だった。

つい尋ねてしまったが昨日のあの松寿丸さんなら「我いがいに誰がいるのだ莫迦者」とか軽く言いそうだというのに――――



「我を一日で忘れてしまったのか?」


と変わらず優しい笑みで寝起きで少しくしゃけた髪をすいてくるではないか。

こんな事をしてくる松寿丸さんに驚きつつ首を左右に振って返事を返した。

言葉がでない。

ドキドキする。



うわあ。


なんでしょう、これ。


「そうか、良かった。そうだ、朝飯を作ってやったから下へ行こうではないか」

「ぇ、あ、じゃあ今車椅子に・・・・・・ぅきゃ!?」

松寿丸さんが突然、私の背中に、足の膝の裏に腕を通して持ち上げた。

急な浮遊感に身を縮みこませてしまった私は何をするのか、と顔を上げた瞬間に顔が熱くなっていくのだ。

先程もそうだが、異性の顔をこんな近くでみた事がない。

この性格じゃない松寿丸さんだとツンツンしていて近くにまず寄り見る機会がなくて気付かなかったけれども顔がとても綺麗に整っていて女顔負けの美しさが目先にあった。

ついつい比べ自分の頬をそっと触り負けた、と落ち込んでみてしまう。

「――どうした、頬が赤いぞ?熱でもあるのか?」

「――っっい、いえ!平気です!!」

己のおでこをくっつけて熱を測ろうとしようと考えたらしく顔が急接近してくるのを必死に止める私。


・・・心臓に悪すぎるんです。

こんなに近いと。

こんなに優しいと。



こんなに。

胸がドキドキしるんですよ。


私は知ってるんです。

私が貴方の事を、・・・好きになってたことを。


今日の松寿丸が好き。

昨日の松寿丸さんだって・・・好き。





なんて、甘い夢だろう・・・。