私は小さい頃に車に轢かれました。

死ななかったけれど、神様は代わりに両足の自由を持っててしまいました。

だから今は、車椅子で移動してます。

周りからは同情の視線でいつも見られてて、すごく、疲れます。




01《こんにちわ》





嫌な夢を見ました。

足が不自由な私が車椅子に座っている事をいいことに膝の上に荷物を大量に置かれて、重いと一言言うと『座ってるだけの存在が何を言うの?』と見下ろされる夢です。

その所為か朝は早く目を覚ましたのです。



「―――――・・・え」


まず最初に、本当に重いということと身体を重ねて寝息をたてている男性の人が一人。


静かな寝息が耳に当たりくすぐったい。

布団の中は二人いるので暖かいけれど、こんな事をする人は勿論親でもなくて――。


異性と抱き合ったことなんてない私は、身体に熱が生まれるのを感じながら混乱していたのですが、重なっている男性の方が小さく呻く声が聞こえた。

「っ――――――・・・な、んだ、これは」

どうやら男性の人も状況が理解していないようで、女である私の上に重なっているのを理解すると普通の人とは違う速さでたち引きベッドの上から降りてまず、私をにらみつけました。

「貴様、何者だ!我を拉致してただで済むとは思うでないぞ!」

少しばかり?奇妙な話し方をする男性の人も混乱しているらしい。

とりあえず、私が先に落ち着くべきだろう。

「お、落ち着いてください。まず、私は神流戯 つかさといいます」

「神流戯?聞いた事のない武家だが」

「武家?――と、とりあえず私は貴方を拉致したりはできないですし、目を覚ましたら貴方がいて―――」

「なぜ『できない』と言い切れる?そうやって信頼させておいて我を飼い殺しにでもするのか?それとも我らの国の破滅を望むのか?毛利家を絶やすのか?」

「違います。貴方の言ってることはあまり理解できませんが私は両足が不自由で動かないんです。それなのに貴方を拉致するだなんてできないでしょう?」

「戯言を―――」


鋭く睨みつけたままの男性の人は上半身を起こした状態の私の手を掴み引っ張る。

もちろん突然引っ張られても足は動かないので必然的にベッドからそのまま落ちてしまい落ちた衝撃で頭がクラリとした。

「ぁ」

下半身に痛みはないものの上半身は痛い。

痛みに耐えながら彼を見上げると先程と代わらない視線で見下ろしていた。

「信じて・・・くれますか?」

「・・・・・・」

何かを考えているのか無言で私を見たまま動かない。

冬ということもあってか床が冷たくて寒い。

彼が立っている反対側に隣接している車椅子に視線を向けた。

「もし、よろしかったら反対側にある車椅子をとってほしいのですが」