1-6報告書




[報告書]
担当者:佐疫
・平腹が出会った生者と怪異について
獄卒平腹が出会ったという生者の元へと向かったがどうやら怪異に巻き込まれたようで居場所がうまく掴めない。生者を探して30分ほど、テレビから声が聞こえそこから別の空間に繋がっている事が判明。中に潜り込めば出入り口のない大きな空間にはいる。そこで怪異に襲われている例の生者を発見。発見時襲われており首、肩、背中に傷を負ってはいたが命には別状は無し。魂にも影響はなし。怪異はテレビに向けての人の思いが形となったものであり数人の命を奪ったのを確認し、贖罪の余地はなしと判断しその場で処刑。
後にその生者へ記憶操作を行うも失敗。平腹にも確認をとったがどうやら彼も記憶操作を行ったようで、おそらく彼女は普通の生者でない可能性があり、今後も怪異に巻き込まれる可能性もあり。


佐疫の報告書を見た。目の前に立つ佐疫もいくらか真剣味をだしていてこれは確かに重大なことになるかもしれない。記憶操作がきかない。それに怪異に二日連続で巻き込まれている。
肋角はふむ、とあごに手をやる。

「直に見て何かおかしなところはなかったか?」
「――・・・それはありませんでした。けれど、気になる事がひとつ」
「なんだ」
「怪異が”そいつはうまいぞ。おまえらも、れいがいじゃない”と」
「・・・そうか。今後その例の生者を一日交代でみていくとしよう」
「わかりました」
「仕事が増えるが、よろしく頼んだ」
「はい」