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・・・。
・・・。
・・・。
・・・。


・・・・・・私は。

何をしていたんだろうか。

何を。何を何を何をなにをなにをなにをなにをなにをなにをなにをなにを?



「―――っ、ぁ」


腕が折れている。痛い。足が動かない。ここも折れている。あそこも。ここも。これも。あれも。あちこち。どこもかしくも。折れている。それでも死から蘇った私はその痛みに耐えるしかない。そのうちなおる。だから我慢しないと。


「・・・・・・・・・・・・なんで死んでたんだっけ?」


最近、記憶があやふやだ。誰かがいつ来たのかはっきりと覚えていない。
ただ、今の現状をみると誰かがやってきて私は死んでしまったんだなとわかる。たまに、あるんだこういうのが。目を覚ますと体中のあちこちの骨が折れていて痛い。そして、きっとその誰かに犯されたのか、精液が膣からこぼれ出る感触。あるいは、身体についている。

誰かわからないけれど、そうやって死んだ私を犯すことを楽しんでいる。
たのしいのかな。たのしいんだよね。じゃなきゃやらないもんね。

最近は、私もおかしくなったみたいだ。

ぐるぐると考えてることが把握できてない。自分の事なのに何を言っているのか思っているのかわからない時が多くなってきた。けれど、それの、おかげかはわからないけれど佐疫は、食事の前に毒の説明と毒入りと毒の入っていないご飯を持ってきてくれるようになったし、平腹も強引に犯してくることなんてしなくなった、私が気持ちがいいこともしてくれるようになったし谷裂もたわいのない会話に付き合ってくれる。木舌は最近一緒にお酒を飲むようになった。ああ、懐かしい。そうやって悲しいことや楽しいこと面白いこと全部口に出して伝える。心を伝える。ああ、なんて素晴らしいんだろうって。それで彼が可哀想にっていうというと、いうと、そう思っている私の考えがおかしいんだって思い出して泣きわめく、頭を抱えて叫んでしまう何を言っているかわからないほどに。でも木舌優しい。優しいんだよ、そうなっても私を嫌わないでいてくれる。ああこんなのを好きでいてくれる。キスを落として優しく抱きしめて犯してくれて時々激しく犯してくれてああ、ああ、楽しいうれしいあいしてる。

「・・・ふふ、ふふふふ」
「お前何独りで笑ってんだ」
「・・・田噛。なんだかすごい久しぶり」
「・・・・・・」

時々やってくる田噛は何もしない。何もしないのが悲しくてうれしい。牢屋の中には入らない。けれど、破られた衣類を持ってきてくれたり、雑用品を持ってきてくれたり、簡易型のお風呂を用意してくれる。あんなめんどくさがりな田噛が、だ。

「ほら、やる」
「ふふふ、ありがと」

今日は衣類みたいだった。
さっき目を覚まして誰かに汚されてしまった衣類。折れた腕や脚と共に曲り破けてしまった衣類を彼の目の前で脱ぐ。裸体をみせることなんてもう当たり前で恥じらう気持ちなんてもうない。もう好きにしてよ。いいよ。この体なら。だって、愛されてるんだから私。でしょう?
だから私はここにいる。

渡された新しい衣類。下着をはき替えて、大きなシャツとズボンをはく。これで風邪ひかないね。



「田噛はどうして何もしてこないの?」
「・・・」
「みんな、楽しそうにしてるのに、田噛は何もしてないね」
「・・・」
「ねえ、田噛は――」


私の事、きらい?




田噛はそのダルそうな目でこちらをしっかりとみた。何かを考えているようだけれどもわからない。数秒、数十秒と眺めていた。私もつられて見ていた。田噛はやっと口をひらいた。



「安心しろ。ちゃんとあいしてる」


田噛の手が首に伸びた。グッと気管を閉められ、酸素の摂取ができなくなる。
ああ、ああ、ついさっきも感じた感覚。酸素が体を巡らなくて、視界がぐらぐらくらくらして笑いがこぼれるこれ。全部があやふやに、ぼやけていくこれ。田噛もほら、わらってる。

「殺して犯したいくらいに、あいしてる――水咽」
「た、が――――・・・・・・、」


暗い暗い死の先。

来る回数が増えたそこは相変わらず何もなくて、何も考えることができない。できなくなってしまった。独りであるこの空間は怖い。暗い。つらい。考えてしまうのをやめて、私は大好きな楽しい呪文を口にする。頭にながす。音楽のように。







わたしはしあわせものだな。