1-9報告書





[報告書]
担当:田噛
・例の生者の件について
どうやら例の生者は無意識に怪異へと近づく傾向があるみたいだ。生者がよく行くという図書館で待ち伏せ。やってきた生者は本をあさり始めたがその中でこの世の物ではない本を手に取ろうとしていたので横から奪う。
しばらく様子をみていると生者にまとわりつく残留思念を発見。”呪い殺せ”とやかましく言い続けていたようだが、とある名前が出た途端に生者の顔つきがかわる。このままだと残留思念が怪異へと変化する可能性があるため追い払う。そして生者と接触。
生者が怪異に巻き込まれるようになったのは七歳を過ぎてから。八歳になってすぐに母は死んだという。
あの残留思念の関係からすると呪いを受けているあるいは呪術を行う家系の可能性がある。ただ本人は何も知らないようだ。
以上

「なるほどな。その呪いの関連で怪異がよってきているという可能性もあるな」
「そうですね、後は父方はそれを知ってるかどうかですがね」
「ああ。・・・引き続きよろしく頼む」
「はい」

報告を終えた田噛が部屋から出ていく。
例の生者は思ったよりも良くない状態といえるだろう。怪異が寄ってくる。きっと悪霊も近寄ってくることだろう。そうなると一日中監視下に置いておいたほうがいいだろう。生者の身も守れるが、亡者たちをも捕まえられる。
田噛が報告したとおりその生者は長くはいきられないだろう。
死した後もその呪いでこの世をさまようはめとなるやもしれん。そこまで考えた肋角はそうか、とひとり頷いた。

獄卒にでも誘ってみるか。

報告をそれぞれ聞いている限りでは長い間怪異と共にいたのだ。根性は座っているだろう。そして今の歳になるまでは自力で解決しているのだから相当なもの。是非獄卒としたい。