肋角さんに報告し終わって休憩室に入ると奇遇にも肋角さんと災藤さん以外みんなが揃っていた。それぞれが好きな事をしていて、佐疫が斬島といるのを見かけ傍によった時、――――ふと思い出した。 「そいえばさ、災藤さんっていつからいないっけ?」 その言葉に休憩室の音が、消えた。 皆が皆、そういえば、とポカンとしか顔で俺をみてる。いや、あれ、誰か知ってると思ってたけどもしかして誰も知らないのか? 最後に見たのは・・・と考え始めた佐疫。 「・・・年の初めにはいた、よ、ね?」 「いたな。忘年会の時は確実にいた。今年に入ってからも正月は何度か見かけたぞ」 斬島も同じように思い出しながら答えていく。 平腹は最後に会ったのいつだか覚えてねー!と笑ってる。まるで怪奇現象に出くわしたかのような雰囲気に谷裂がくだらん!と一喝した。 「災藤さんは外部出張が多い。今回は長期でいないに決まっているだろう」 「たしかに外部出張多いけど、それでももうだいぶたつねえ」 一月ごろにはいたから、今は六月ごろってなると六か月も姿を見せてないことになる。俺は去年ここにきたから詳しくは知らないけど長いね、と首をひねる最年長の木舌も初めて見たいだ。そいや、災藤さんって出張よく行くけどなんの出張なんだろーな。 「木舌でもわかんない事あんだな」 「そりゃあー、おれもそれなりに長いけど、肋角さんや災藤さんなんかもっともーっと長いはずだよ」 俺で50年。木舌だと百年単位。それよりもっともっとって千年単位でいるんじゃないかとか考えた。そしたら俺達が束になっても勝てない理由が成り立つな。おお。千年前ってナニ時代だっけか?え?んん? 「せ、先生が前に少し言ってたんだけど・・・」 遠慮気味に話に参加してきた抹本。 先生ってのはリコリス病院にいる先生で、日本の外からやってきた存在だ。正体は俺わかんないし、抹本に尋ねてもナイショ、とかはぐらかすし。 「先生がここに来たときにはもう特務課の長をやってて災藤さんもその時にはすでに副管理長の位置にいたって・・・」 「へー。え、つうか先生が日本に来たのっていつだ?」 その先生がいつ来たのかわかんね。質問投げれば抹本は「ええと」とオロオロしだして抹本もわからないらしい。んんー? 「先生もいつからいるのかわっかんねー!つうか、俺、知ってるもんだと思ってた」 だってみんな、肋角さんの事大好きだし。谷裂に関してはもう信仰してるんじゃなかいかってぐらいな面もあってうわあ、って思うぐらいだし。いやいや肋角さん凄いよ?俺にだってわかるよ?圧倒的な強さを見るとそれに魅かれるもんな男として。それと器もでかいし。怒ると怖いけど。 「おれ達もここに来た時にはあの二人いたからね。あの人が何歳でそこの人が何歳でって考えを獄都でやっちゃうとそれこそあいつは何歳だ?つうかどんだけ長く存在してんだよ?ってなっちゃうからねー、気にしたことないや」 「そうだな。俺達もそれなりに長く存在しているからどうでもよくなってくる」 へらっと笑う木舌。それに同意する斬島とその他。 田噛は寝てるから返事はなし。 平腹がこっちをバッと見てきて吃驚。なんだよお前ってドキドキしながらもふーんと納得しておく。 「そういうもんなんだなー」 「そういうものだよ、兆野」 「ぴぃああ!?」 背後からの落ち着いた声に口から心臓が飛び出す。 慌てて後ろをみると何か月ぶりかの災藤さんがニッコリと微笑んで俺の後ろに立っていた。両脇に紙袋をぶら下げて。 「やあ、皆久しぶりだね。良い子にしてたかい?」 「災藤さん、お帰りなさい」 「ああただいま佐疫。それと皆」 お帰りなさい。それぞれ言葉をかえし俺もお帰りなさい、とドキドキする胸を抑えながらも返事を返した。 「出張中に別の任務も入ってしまって気付いたらこんな時期になってしまったよ。これ、皆へのお土産。いろんな場所のお土産あるからね」 「「「「「「「「有難うございます!!」」」」」」」」 「しばらくは休暇だから、館にいると思うよ。さて、肋角にも顔を出さないとね」 あ、肋角の分も残しておくんだよ。そう言い残して休憩室を後にした災藤さん。噂をすればなんとやらってやつでしかも気配消してくるもんだから驚いた。すんげー驚いた。あ、さっき平腹が突然こっちみてきたのはこれか。くそ。教えろよ。 紙袋の中身を見ると、外国産のチョコレートやら珍しい果物やらなぜかサボテンが入ってた。 それで、前にもサボテン持って帰って来てたよねという佐疫の言葉に、災藤さんイコールサボテン好き、という公式が頭にできた瞬間でもあった。 ---- 災藤さんの存在がすっぽり抜けたので登場させただけ |