変態は死んでも治らない






胸が、おっぱいがこんなにも重たいものだったなんて思いもしなかった・・・!

「はっ・・・はっ・・・ちょ、タンマいたい」
「・・・あ、ああ、そうしよう」

斬島との訓練だけど、このおっぱいが邪魔で邪魔で仕方ない。なんだよ!走る度に上に上がるのはいいけど下に落ちた時の衝撃はさあ!しかもいてえ!!乳もげちゃう!女ってこんなもんなの?こんな重いのいつも身に着けてるの?

斬島の斬撃をいつも通りに避けられたのは最初の五回ぐらい。そこから胸の上下運動は激しいものでだんだんと皮膚が伸びる痛みと、重さに速度が落ちた。むり。ツライ。

それは斬島も見てて思ったみたいでやけに深刻そうに青い目を胸に集中させながら訪ねてくる。

「・・・重そうだな」
「んとだよマジ重い・・・。それに痛い」
「・・・そんなにツライものなんだな女というのは」
「俺も女になって初めてわかったんだよ。せーりってやつも痛かった・・・」
「せーり?なんだそれは」

先々週あたりに血がでたことがあった。女の事はとりあえずキリカさんへ!ってことで尋ねに行ったら生理なるものなんだって教えてくれた。
生理とはなんだと訪ねてくる斬島に俺が覚えている限りの情報を話す。

「女は月いちで一週間生理ってのが来るんだってよ。生理になると股から出血するって」
「股から・・・?兆野は大丈夫だったのか?」
「まあ・・・。それにも吃驚だけどよ、超いてえんだよ!腹がさ、一日中キリキリするような痛みが絶えず続いてよ・・・拷問うけてんじゃねえかって程」
「そんなに痛いものなのか・・・女は大変だ」

そうだな、と同意しつつ訓練に使っていた木刀を杖代わりにして立つ。
もうやめよ。これ以上は疲れる。斬島に終いにしようと持ちかけようとした。


「大変なら、止めてあげようか?」


ジャーンという効果音を付けてもいいぐらい明るい笑顔で現れた木舌。

もちろん対照的に俺の表情は酷い臭いをにおわすゴミを見つけた時の様な顔をする。それさえも気にしない木舌は本当に変態だ。

「おれ、その生理の止め方知ってるよ?」
「あーはいはいそうねー」
「止めることができるのか?」

適当にあしらっておさらばしようとした俺の思惑とは別に斬島がその木舌の言葉に食いついた。やめろよどうみても怪しい台詞だろう。つっても斬島だから察しろというのは難しいのかもしれないわ。

「教えてほしい?」
「ああ、ぜひ教えてはくれないか。今後の参考になる」
「何の参考にすんだよ」

今後ってなんの参考だよ。女にでもなんのかお前は。それともお嫁でも貰うのか?ああ?わっけわかんねええよ。斬島ぁ!

フフフンと自慢げに笑い近づいてくる木舌。におってくるお酒の匂い。こいつ酔っぱらってんじゃねーか!こっちくんな!酔っ払いはきえろ!特に木舌の酔っ払いは酷いったらありゃあしない。忘年会の時もあんま記憶覚えてないけど散々な目に遭った気がする。

「酔っぱらっているのか」
「そんなのいいのー。でね、生理を止める方法!それはね―――子作りをぶ!?」
「やっぱろくな話じゃねえな!!!死ね!!!変態!!!!!」


持っていた木刀で頭を叩きつける。一回二回三回・・・と五連続たたきつけたところで木舌が木刀を掴み止められる。鼻血と片目だけ抜けた木舌がこっちに向いた。

「痛いよ兆野!そんなに恥ずかしがるもんじゃないよ?あっ、それとも、もしかしておれと、子づ」
「んなわけあるかよきしょくわりい!!」
「兆野とだったらいつでも・・・!」

グイと顔を近づけてきた。木刀を手放して離れようとするけども木舌がおれのその手を掴んで引き寄せようと力を込めてくる。口元がチュウをせがむ様にヒョトコみたいな口になってきてゾゾゾと鳥肌が立つ。

マジで気持ち悪いんだけどこいつ!?


「斬島、ヘルプ!!」
「そうだな。木舌、あまり人がいる所でそんなことをするものではない」


ちがーう!!そういう話じゃないの!?ねえ、わかってる?今の現状わかってるう!?
どうみても襲われてるの!俺、襲われてるの!!
それもそうだね!じゃあおれの部屋に行こう!!とか抜かし始めた木舌。後片付けはしておくとかそれに返事を帰す斬島。

あああああ、もう!

「誰がお前と子作りなんてするかあああ!!!」
「ぬふ―――――っっっん!!」

脚と脚の合間に膝を打ち込み急所を潰す。
木舌が奇妙な叫びをあげうずくまったのを横目で確認して逃げたのであった。




後で、佐疫と肋角さんに報告しとかないとな!