「はあ?!お前らまだやってねーの!?」 食堂で突如叫んだ平腹を、その場にいた同僚たちが袋叩きにしていく。肉が散り血が飛び散る様で食堂が血みどろとなっていく。その中、顔を赤くしてうつむくのは木舌と水咽だった。 最初は本当にただの雑談で皆で食事をしていたわけだが、二人の恋愛の話になる。ここの獄卒は水咽以外男だ。佐疫は女らしいところがあるがだからといっても男。女心が完璧にわかるわけではない。 ただの雑談が二人の恋愛話に。恋愛を自慢したい木舌が照れながらもペラペラと話し続け、どんどん怪しい質問が加わってくる。 主に平腹から。 その質問には言葉を濁らしていた木舌だったが、ほかの質問に答えている合間にすっと入ってきた『ヤったのかヤってないのか』の質問につい、答えてしまった。 そして冒頭に戻る。 「平腹、ほんと信じられない!馬鹿なんじゃないの!!」 一番に怒りをあらわにしていた佐疫は顔を真っ赤にしながらすでに肉塊となっている平腹にどんどん弾丸を打ち込んでいく。弾が切れるとその拳銃を肉に叩きつけるという荒れ様に斬島が必死に鎮めた。 それぞれがため息を吐いて席に着く。 無言。 水咽は顔を、耳を赤くさせて手で顔を覆った状態で動かない。 同じように顔を真っ赤にさせている木舌はお酒も飲んでいないのに「よ、酔ったかな〜俺」とかほざいている。のに、それに話を合わせて「そうだな」と斬島が返して来たりする。 微妙な雰囲気になりなおさら黙った。 コホンと谷裂が咳をした。 「・・・今日の飯は美味いな」 話題を変えてどうにか雰囲気を変えようとしたのだろう。 「そうだね、美味しいね!ねえ、斬島!」 「そうだな。特にこの白米が」 「意味わかんねーよ」 「お、俺もこの白米うまいと思ってたんだあー。ねえ、水咽もそう思うでしょ!?」 無理矢理感のある会話の中、木舌に話を振られた水咽。 いまだに顔を覆い隠してうつむいている彼女はビクリと震えてか細くも声を出す。 「そ・・・ですね、美味しいです、よね・・・白米。このいつも食べてるなって・・・感じの・・・・・・味・・・・・・・・・が・・・・はぁごちそうさまでした」 「あっ、ちょ、まって水咽!ご飯一口も食べてない!!」 静かに立ち上がり去ろうとする水咽の袖をつかみとどまらせる木舌。けれどもそれは解かれて指の合間から完全に混乱しきって目線をあちこち変えて動揺している水咽の目が覗く。 「白米美味しいんですから、白米と食べて結婚しててください・・・私・・・私・・・仕事行ってきます!」 「わけがわからないよ!!水咽ー!!」 走り去っていってしまった水咽に手を伸ばしてがっくしとうなだれた木舌。 またわけのわからない微妙な空間が濃くなったことにより、どうしようもないと判断した同僚たちはうなだれる木舌を残して食器を片付けその場から去って行ってしまった。 |