つかさは、ペンギンが好きらしい。 らしいってのは、ペンギンとよく話すし楽しそうにしてるのをよく見かけるからだ。本人には聞いてないっていうか聞けない。 それで本当にペンギンが好きだっていうことがわかってしまったらしばらくは立ち直れない。そんでペンギンにきっと八つ当たるだろうな。 だっておれ、つかさが好きなんだもん。 「シャチ、どうしたの?調子悪そうな顔してる」 先の雲行きの怪しい恋路に落ち込んでいるとつかさが声をかけてくれた。つかさに呼ばれて少し浮かれるが空元気にしかならなかった。 「ちょー元気だからっ」 「どう見ても、元気にみえないってば!なんかあったの?」 「なーんも。いつもどおり」 「ホント?」 「ほんと」 つかさに恋い焦がれて、ペンギンと楽しそうにしてる姿を見て嫉妬して、ため息をはく。 いつも通り。 つかさにペンギンに好意を持っているのか聞けずに、告白すらできない情けないおれは完全に諦めがつくまで引きずり続けるんだろうな。 隣につかさがいるのを忘れてため息がこぼしてしまう。 「あ、ほら元気ない」 「…元気だっての」 「元気のないシャチには素敵なプレゼントでもあげようかな!」 「人の話きけよっ」 話を聞いてくれないつかさ。 背に手のひらが隠れるようにおいていた腕がおれの目の前に差し出された。 手に乗る青い包みに桃色のリボンで装飾された小さなプレゼントをみて、憂鬱な気分が彼方へと消えた。 唖然。 驚愕。 別に誕生日というわけでもないし、何か特別な日でもない。忘れてるなんてことはないと…思う。 訳が分からずつかさを見れば「開けてよ」と催促されてしまい、仕方なく受け取りリボンをほどいた。 包みをあけると小さな箱。 ソレを開けば、ハートの海賊団マークの掘られただけの指輪だった。 もっと訳が分からなくなって目を見開きつかさがを再度見れば、同じデザインの指輪のはまった手。 それで照れ臭そうに、 「シャチが好きだから……ペアルック!」 なんて言ってきたから、ショートしそうな頭でなんとか指輪をはめてつかさにみせた。 なんか、とりあえず、ペンギンが好きなわけじゃないのと、おれが告白された事が超嬉しいから、しばらく調子乗り続けようかな。 うん。 『乙女な男、漢な女』 「おれてっきりペンギンが好きなのかとグス…」 「ええ?シャチとペンギン仲いいでしょ?だからどんなものが好きなのかとか色々と聞いてたの!」 「ジーン…」 「え、なに?なんで泣いてるの?!」 [*前] | [次#] |