「マミーアイラブユーー!!」 「誰がマミーだ馬鹿」 「いだだだだだ!」 廊下の先で見かけた恋人の姿に向かって走り叫べば、容赦なく頭をガシリと捕まれギリギリギリと締められた。アウチ。 解放され頭を抱える私。 「ばかになったらどーすんの田噛」 「安心しろ手遅れだ」 しれっと毒を吐いてくる田噛はやはり容赦ない。それでも嫌いになれないのは毒をはいたあとに優しくしてくれるから。 一緒にあるく。 たとえば、頭を優しく撫でてくれたりお菓子をくれたり。 それを話したら佐疫からはアメトムチというお言葉をいただいた。ちなみに木舌からは飼い主と犬と。 どちらにしても、優劣がついてるわけだ。田噛が優で私が劣! それでもいいよ。大好きだから。 「田噛ー」 「あ?」 「田噛は頭良いのにどうしておばかな私好きになったの?」 「突然なんだよ」 「なんとなくー。ばかに付き合うの疲れない?・・・いや、疲れないか、平腹相手にしてんもんね」 「疲れるに決まってんだろ」 歩いてた彼のあしが止まる。 手を捕まれて私も止まる。数秒とこちらをみる橙の瞳には熱が含まれてる。恥ずかしくて視線をそらしてもずれない田噛の熱視線。 「お前は平腹並みに馬鹿だ」 「え、唐突にけなしてきた」 「・・・この馬鹿黙れ」 「アッハイ」 舌打ちと殺気に黙る。黙ったら、突然に顔を急接近させてきて唇を貪るように口付けてくる。 頭は押さえられてはなせない。だからされるがままになる。舌がからんで、唾液がまざって、頭どころか身体さえも壁に支えられてたってる私。 やっと口がはなれる。 「っ・・・はっ、っ・・・ろ、うかでするのどうかと思うよ?」 「黙れっていってんだろーが」 「・・・」 「テメェみたいな馬鹿を好きになった理由はなお前だから好きなんだよ」 「・・・どゆこと?」 「わかんなくてもいい。馬鹿だからな。ホラ、行くぞ」 引っ張られる。 熱い手を握り返し彼のあとを歩く。 向かうと予想していた場所とは違う方向に進む。 「田噛、どこいくの?」 「俺の部屋」 「なにしに?」 「つかさみたいな従順な馬鹿を食べるためにだよ」 だるいかおをしながらも逃そうとしないその想い。 好きだよ。 是非そうやって私をいつまでも従順に、大好きのままでいさせてね。 [*前] | [次#] |