拝啓、愛していた彼女へ(金吾)



「びぇぇえ…!!」

なんで僕ばっかこんなめにあうんだよ。三成くんも元就様も、僕を…、僕を!

「まぁーた、いじめられたの?」

クスクスと僕の不幸を軽い軽いと言うように笑う声に涙と鼻水で濡れた顔を上げた。長い髪を肩に掛けて前に垂らす彼女が手拭いを顔を上げた僕の顔に押しつけて優しくふきとってく。

「つかさちゃんっ…つかさぢゃん…」
「ほら泣かない泣かない」
「う゛ぅ〜…」

またこぼれそうになる涙を拭いてくれるつかさちゃんはいつも優しい。
僕が争い事が嫌いだっていうと周りのみんなは国をまとめる方なのだからと怒る。

けどつかさちゃんは怒らないんだ。優しいんだねっていってくれるんだ。


…僕、つかさちゃん好きだったんだ。
情けない僕だけど、好きだったんだよ男の子として。


「つかさちゃん、これからも僕と一緒にいてね!」
「うん」
「絶対絶対、ぜったいだから!」
「じゃあ、指きりげんまんしようか」

「ゆびきりげんまん」
「うそついたら」
「針千本のーます」

ゆびきった。










「―――金吾さん、探しましたよ」
「天海さま、」
「おや、そちらのお墓はどなた様ので?」

天海さまがこの国に来るまで僕が毎日通っていた墓場は、前よりも少し土や草で汚れてる。
たくさんの国が大変で、僕の国も大変で、天海さまのこと、三成くんのことをお墓に寝てるつかさちゃんにはなしてた。

「つかさちゃんっていってね、天海さまがあらわれる少し前にいた…――僕が好きだった子」

今に思えばなんでつつかさちゃんは僕と仲良くしてくれたのか。彼女がどこに住んでいて家族がいるのかとか何一つ知らなかった。聞いたら来なくなっちゃうんじゃないかってきけなかったんだ。

彼女が死んだときも、どうして死んだのか誰にやられたのか聞けなかったしつかさちゃんも何も言わなかった…。


「…今以上に泣き虫だった僕と話してて楽しかったのかなつかさちゃん」
「おや、金吾さん。わたしはその方のことは知りませんがきっと、確かに楽しかったはずですよ?」
「天海さま…」
「金吾さんはお優しいのですから」
「…天海さま!」

そっと優しい眼差しを見せてくれた天海さまと言葉に感動して涙が滲んできた。

その時だった。
嫌な感じがした!



「金吾おおおおおおおおおお!!!!!」
「三成くん?!」
「貴様あ!わたしをいったいどれだけ待たせるつもりだぁああ!!!!?」
「ひええええぇ!!!!?」

「あぁ、そう。言い忘れてましたが三成さんが、」
「言うの遅すぎるから!!!!」


「金吾おおおお!!!!」
「ごめんなさいいいいい!!!!」


拝啓、つかさちゃんへ。
今日も僕は、色々頑張ってます。


『拝啓、愛してた彼女へ』
カキン!ガキン!
ガン!!
ひぇええぇぇえ!!

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