ごじゅうに



廊下の明かりが眩しくて痛い。
そういえば私はいつから、泣き叫ぶほど怖かったはずの暗闇に慣れてしまったのだろう。なぜそれに気付かなかったのだろう。自分は最初の頃よりも変わってきたとは感じていたがその変化は自身が思った以上に大きくて、自分の身じゃないみたいだった。

デントはいつもより少し表情が硬くて手元の手紙を見ていた。それに気付くと後ろめたい気持ちになってすぐに懐へと入れた。デントが寂しそうな顔をする。どうしてそんな顔をするのか。

いつまでもじっとその顔で見てくるものだからつかさは少しばかり嫌な顔をしてぶっきらぼうに言葉を返した。

「何?」

そう返しても彼はじっと見たままで反応しない。
わけがわからない。人の部屋にきて用があるかと思えばじっと見続けて―・・・。

「デント・・・?」
「・・・もうちょっと」

仕事のときでも楽しそうなデントの声は静かで、悔しそうで目を大きくしてデントをみてしまった。先ほどと顔は変わらないがまた黙ってしまってもう一度名を呼ぼうとすれば彼が顔を泣きそうな顔変えてたずねてきた。

「――・・・つかさは、プラズマ団に戻るのかい?」


心臓を、掴まれた気がした。

どうしてその事を知っているのか。この事は、この手紙の内容は私とNしか知らないはずなのに。どうして。

悪い事がばれた子供のように身を硬直させて、それでも必死に隠そうと視線を逸らし低くなってしまった声でしばらっくれる。

「―・・・何を言っているのかわから」
「ごまかさないでよ」



確実に知っている。

その言葉につかさの身体は罪悪感で振るえ泣きそうになる。

「昼に君はプラズマ団の人に会って手紙を渡された」

「っ・・・」

脳裏に昼時にあったNの顔と、記憶にのこるおとうさまの顔がよぎる。
どちらも笑っているのに笑ってはいない顔で見下されてるように見えた。

そこでつかさはああ、と気付いた。





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