じゅうはち
それからまた一週間が経った。
その時コーンに言われたその言葉をこの一週間ずっと、考えていた。
つかさに必要な、大切なものを見極めなさい。彼はそういった。そう言われてつかさは"自分の大切なものはなんなのだろう"と考えるようになった。
愛。
おとうさま。
それから・・・。
「・・・・・・馬鹿じゃないの」
背中を丸くすると小さな痛みが背中を這う。一週間たった今、もう治るだろうという所まできているつかさは己の必要な、大切なものが"それだけしか"ないことに嘲笑う。
これしかない。これ以外は何もない。これがなければ私は"生きていけない"。
他に大切なものがあれば生き方は変わっていただろうか?そんなことを思ってしまったつかさはもう一度「馬鹿だ」と呟き今日も晴れである窓の外を見上げた。
この一週間ちょっと何も働いていなかった。のんびりとした空間に暇を感じて空を飛ぶマメパトをただ見る。
―――この怪我が完治したらどうしようか。
きっとウェイトレスをするのだろう。
ウェイトレスってどんな感じで働けばいいのだろうか?お客さんから注文を聞いて、それを厨房にもっていって出来上がった料理を持っていく。当たり前の動作。
それでも私にとっては当たり前でない動作で、人と面を向かって話すことなどないから。
うまく、出来るのだろうか?
日差しが暗くなる。漂う雲が日を隠したのだ。昼なので対して暗くはなりはしないが、それでも日の暖かさがなくなりヒヤリとした空気が肌にふれる。
不安、いや不安ではなくて戸惑い。
「――――、何を」
暇だからといって物思いにふけるのはわかる。だが、その内容が全てウェイトレスに関する事とは一体どういうことなのだろう。ふけっていたつかさ自身どうして思っていたのかがわからない。
日を隠していた雲が流れ唖然としているつかさの身体に温かい日の光があてられる。
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