○その優しさにつけこみます(新荒)

なんだか最近新開がやたらと俺を見ている気がする。
ふと視線を感じれば新開と目が合うって事が多い。
そして今、まさに視線を感じている。

「なんだよ?お前もしかしてまだ左側走る事、気にしてんのか?」

折角俺が一緒に走ってやったのに、まだ走れないって言うんじゃ困る。
そう思って俺は思いきって新開の野郎に声をかけた。

「え?いや…そう言う訳では…」

「まー、聞いてやるぐれーはしてやるからさ」

あんまり落ち込むなよ、と肩を叩いてやる。
一瞬、新開は否定したが、意味深な微笑みを浮かべて俺を見た。

「あぁ、そう、そうだな。じゃあ…」

新開のその微笑みと口調になにか嫌な予感がした。

「今度昼飯奢ってもらうのと、俺の事名前で呼んでもらって、あと俺と付き合ってよ」

「ちょ、多すぎねぇか!?」

あまりの注文の多さに慌てて新開を制止させる。
しかも後半からなんかおかしいだろ!
俺から止められると新開は今度は悲しそうに視線を伏せた。

「じゃないと俺また左側走れなくなるかも…」

「う……」

つぅかこれ、俺つけこまれてねぇか?
俺は頭を抱えた。 頷くしかねぇからだ。






〈終〉


お題元→Poison×Appleさま


→新開が荒北の優しさにつけこませてもらったらこんなかなと想像して。



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