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「東堂さんって巻島さんの事好きなんだと思いますけど」

いきなり言われた今泉の言葉に面食らった。
それは明日は月曜日です、とまるで確定された事の様だ。

「は?いきなり何言ってるショ」

訳が分からなくて眉を潜めた。
意味が理解出来ないと同時に沸き上がるのは疑問だ。

「なんでお前にそんな事わか……あー…」

そんな事分かるのか、と言いかけて、あぁそうかと理解した。
そういやこいつ小野田の事好きなんだ。
だから東堂が引っ付いてくるのを見てそんな事思うのだろう。

「今日東堂さん来るんスよね?」

「なんで知ってるショ」

「電話で話しているのを聞いて…巻島さんも好きなら…」

思わず毎日の様に電話をかけてくる東堂を恨んだ。

「もういいっショ。東堂には聞いてみるから、いけよ」

好きならなんなんだよ、と思いつつも今泉の言葉を遮って、さっさと小野田の所にでもいけよと言う意味で言ってやる。
俺と話している今も、鳴子と話している小野田が気になるのか目で追っているのが分かるからだ。
その言葉を聞いて納得したのか、今泉はさっさと小野田の所に行ってしまった。
いや…納得と言うか単純に小野田が気になってるだけだな、あれは。

大体、聞いてみるって俺も何言ってんだよ。

「巻ちゃん!来てやったぞ、スター自らが」

もう自信に満ち溢れてなきゃ言えないだろう。
それぐらい自信たっぷりと言った感じで東堂は校門の前で仁王立ちしていた。

「来てくれなんて言ってねぇショ」

「素直じゃないな、巻ちゃんは」

「どこをどうとったらそう聞こえんだ」

まぁいいや、そんな事を言い合うために会った訳じゃない。
周りに人がいないのを確認して俺は口を開いた。

「東堂、お前俺の事好きなのか?」

別に照れる事もなく聞いた。
恥ずかしがるとかそう言う間柄じゃないと思ったからだ。
ましては俺も東堂も男同士だ。
東堂は戸惑った様な顔付きになったが、すぐにいつもの得意気な顔で更に指まで指して声高らかに喋りだした。

「ようやく気が付いたな!巻ちゃん!好きにきまってるじゃないか!もちろんラブの方だからな!……帰る!」

「え、ちょ、東堂!?」

早口で捲し立てられ、今度は俺が戸惑った。
捲し立てたかと思えば挙げ句帰るってなんだよ。
背を向けて帰ろうとしている東堂はピタと立ち止まり、振り返った。
その顔は少し紅く染まっている気がするのは気のせいなのか。

「やっぱり今のは冗談だ!」

そう強く言って、東堂は本当に走り去って帰ってしまった。

「なん、なんだよ」

照れるはずなんかないのに俺まで紅くなるのは東堂に感化されただけだ。







〈終〉



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