写真の少年
※注意点
・シルバ×クロロ♀
・『狼の躾』とは別設定の調教パラレル
・モブ×クロロ♀描写
・スカトロ(小)描写
1
ある沿岸海の端に浮かぶ島。そこは、200年前、強欲な人間が魔族と協定を結んで以来、国家からの干渉さえ排し、実質的独立をなしている悪徳の楽園である。この隔絶された巨大な都では、あらゆる闇商売が公然と行われ、さまざまな種族と欲望がひしめきあっている――。
島の中心部の高級娼館。そこの美しき女主人は、島外から訪れた客人たちを、妖艶な微笑みで歓迎した。
客人は、ふたり。
まず、銀色のウェーブがかった長髪と狼のように鋭い双眸が印象的な壮年の偉丈夫。
鍛え抜かれた肉体の持ち主で、調教師を生業としている。人間でありながら、武と魂の両面で、魔族と同等以上に渡りあえる、特異な男だ。ゆえに彼の専門は、異能者、亜人、魔族……と、およそ普通の人間には手に負えない連中である。
そんな彼が、その逞しい腕に抱いているのは、黒いショートヘアの若い娘だ。彼女は、調教師の厚い胸板をまくらにして眠っている。
否、これは、眠らされているのだ。
稀な美貌の人間だ。小さな顔の中で、見事な造形のパーツたちがそれぞれふさわしい位置におさまっている。透き通るような白い肌はきめ細かい。薄く開いた唇も艶めかしい。
品のある整った顔立ちだが、寝顔にはどこか幼さが残る。
額に刻まれた複雑な十字の刺青が、前髪からうっすらのぞいている。
ひと目で一級品と知れる女体を包むのは、細いファスナーが一直線に走るタイトな黒い革服だ。そのすらりと締まった手足が、鎖枷で拘束されているのも興味深い。
糸のように細いこの鎖は、あらゆる抵抗を許さない。能力の一切を使えなくする。その頼りなさとは裏腹に、高位の魔物でも引きちぎることは難しい。
これが、人間を拘束するのに使われるのを、女主人ははじめて見た。
「いつもの部屋は空いているか」
「ええ」
「なら、そこを使わせてもらう。……それと、男の肉人形を借りたい」
「何体欲しいの?」
「今、手の空いているもの、全員だ」
「わかったわ。それじゃあ、行きましょう」
――娼館の地下。
ここには、特別“厄介”な者を調教あるいは拷問するための部屋がある。
人間を、それも10代を脱したばかりであろう若い娘を入れたことはない。
部屋に着いた調教師は、天井の中央部からたれる拘束具に、娘の両腕をつないだ。鎖枷はそのままだ。
(徹底的ね……)
女主人は、吊された娘を、商人の目から再び鑑定する。
見れば見るほど、均整のとれたすばらしい女体である。張りのある美乳、きゅっとくびれた腰、つんと上向く臀部、細く引き締まった下肢。
この美貌と肉体だけでも大金が動く。
そこに、人種、肩書き、能力が加わると、値は爆発的に上がるのだが……。
「あなたにここまでさせるこの子って、一体、何者なの?」
当然の疑問を投げかけると、すんなりと答えが返ってきた。
「幻影旅団」
それは、最近、小耳に挟んだ盗賊グループの名前だった。
「……そう」
女主人は、少し拍子抜けしていた。
(ネームバリューはそこそこね……あくまで買い手を“人間”に限定したらの話だけど)
人間の世界では名前が広まってきているようだが、魔物の世界では、人間相手に暴れているだけの幻影旅団の認知度は低い。
噂で聞いた限りでは、なかなか派手なことをしているらしいから、強力な後ろ盾がいるのかもしれないが……。
やがて、屈強な体躯の男たちが次々と部屋へ入ってきた。
肉人形である。
全裸で、真っ赤な首輪をつけている。皆、鋼のような体躯と、長大なペニスの持ち主である。
彼らは、性奴隷の折檻や、今回のような調教師の補佐を役目としている亜人だ。優秀な調教師の下で、性奴隷を悦ばせる術や啼かせる術を叩き込まれた者たちである。彼らは、性奴隷を喘がせるために生きている。生かされている。
「……これで全員か」
「ええ」
そのとき……。
今まで死んでいるようであった娘が、どうやら目をさましたようである。
覚醒した今や、寝顔にあった幼さはすっかり消え失せ、代わりに、老成した独特の雰囲気を醸し出している。
やはり、大きな双眸だ。枠にはまる瞳は、吸い込まれそうな黒真珠である。
自我をとり戻した瞳に、女主人はひかれた。
底光りするそれは、彼女の魂の強さを物語っているようであったからだ。
虜囚は、調教師、部屋の出入り口、女主人、肉人形、死角、と、すばやく自然に視線を走らせる。戦い慣れた者の仕種だ。
「――オレはどれくらい寝てた?」
澄んだアルトに、恐怖や動揺の色はまったく含まれていない。
「2時間……いや、3時間かな……」
調教師だけをまっすぐ見据えながら言葉を重ねる。女主人や肉人形など眼中にないようだ。
「ねぇ、いつもの場所からここまで、オレをどうやって運んだの? 車……? ヘリ……?」
「竜よ。綺麗な銀色のね、珍しい種よ」
ズレた質問ばかりする虜囚に、女主人が調教師の代わりに答えると、黒真珠が彼女の顔をうつした。
(もっと他に、訊くべきことがあるでしょうに。大物かと思ったけど、わからない子ね……あら)
調教師が女主人を睨んでいた。よけいなことはしゃべるなと、そのきつい光は語っている。
(機嫌を損ねてしまったようね)
虜囚が低く笑った。
「竜か。意識のあるときに乗せて欲しかったな。……それで、彼女は?」
ようやく、“訊くべきこと”を訊いた。
「この娼館の主人だ。そして、こいつらは、肉人形と言われている連中だ」
調教師はそう答えた後、肉人形のひとりに指示を出した。
指示を受けた肉人形は、吊された虜囚の背後へまわり、その太い腕を使って、彼女の両脚を広げるように抱え上げた。
虜囚は、股間が大きく開いた形で固定される。
調教師が、彼女の首もとの引き手へ手をかける。
ファスナーを下げていく。身体の真ん中を縦に走るそれは、後ろへまわり込んで、腰のあたりでようやく止まった。
虜囚は下着を身につけていなかった。なめらかな白い肌、乳房の谷間の深い陰影、形のよい臍、無毛の陰唇と、肛門があらわになる。
陰唇は、粘膜の色も鮮やかで、まだまだういういしい。つるりとした肉土手のせいで、未熟な印象さえある。小ぶりで、いかにも締まりがよさそうだ。
しかし、肛門の方は、子どものような陰唇とは対照的であった。
性奴隷の“仕込み”が完成している。まるで、排泄穴があるべき場所に、小さな陰唇があるような錯覚さえ抱かせるほどに、作り替えられているのだ。
そんな熟した肛門から、小さな取っ手が顔をのぞかせていた。
調教師が、それをつまみ、手前に引いていく。
――ずるっ、ずるっ、ずるっ……。
数珠繋ぎの性玩具が顔を出す。
虜囚は、球体が肛門から抜ける度に、「んっ……んっ……」と、色っぽい吐息を洩らし、身体を小さくふるわせていた。
よくもあのほっそりした腹におさまっていたと感心してしまうほどに、大きさも長さもある拡張用性具だった。
「……彼女は、出ていかないの?」
息をととのえながら、虜囚が訊ねる。
「それがこの部屋と肉人形を借りる条件だ。気になるか? ……安心しろ。すぐに気にならなくなる」
虜囚の両脚を抱える肉人形が、そのまま彼女の肛門を貫いた。
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