壁の穴
シャルナーク×クロロ 学園パラレル


※ヒソクロ版とは設定が異なります。












 まず、
「ごめん、クロロ」
 と、シャルナークは謝った。
 続けて、顔をキリッと引き締めてから、言った。
「このまま1回ヤラせて!」
 すると、壁の向こうからは、
「だめだ」
 という冷淡な声が返ってきた。


 偶然と必然と奇跡と悲劇の連鎖によって、クロロは壁の穴にはまって動けなくなっている。
 クロロ=ルシルフルのために天から賜れた(あるいは悪魔が創った)ような形状をしている穴のせいで、自力では抜け出せないらしい。
 シャルナークからは、彼の腰から下が見えているのだが、それがまるで壁から下半身が生えていると錯覚してしまうような奇妙な光景なのだ。
 最初こそ、すぐにでも助け出すつもりでいたのだが……。
 健全なる男子校生は、恋人の無防備なおしりを見ていたら、ムラムラわき上がる衝動を、どうにも抑えられなくなってしまった。
 バックでするのに申し分ない位置におしりがあるのもいけない。
 一方、壁の向こうから返ってくる声は、いつもと変わらずにクールだ。
「いくら人通りが無い場所とは言え、危険だろ、いろんな意味で」
 ごもっともである。
 しかし、シャルナークもゆずらない。
「ここがこの時間、まったくの無人になるの、クロロだってよく知ってるだろ?」
「……ホテルじゃだめか?」
「この状況で! この状態のクロロとヤリたいんだ! お願い!!」
 バシンッと両手を合わせて懇願するシャルナーク。壁から突き出た尻に向かって拝み倒してる姿はなんともシュールだが、この場にいるのは彼らだけだ。
 しばらくして、低い声が返ってきた。
「…………1回だけだからな」
「ありがとう!!」








 クロロの制服のズボンを下着ごと膝まで下げる。
 なめらかな尻肌があらわになる。
 本当なら、この白くて綺麗な小尻を、揉んだり舐めたり弄り倒したいところだが、残念ながら時間は限られている。
 シャルナークは鞄からローションボトルをとり出すとフタを開けた。
 ボトルを持っていない方の手で、小尻の割れ目をぐっと広げる。外気にさらされたアヌスが慌てたように窄まった。
「ちょっと冷たくなるよ」
 そう言って、細い先端をアヌスへ差し込み、ボトルを強く握り締めた。
 ――グビュッ! ジュルッ! ジュルルルルッ!
 悲鳴は上がらなかったが、冷たいローションを直腸へ流し込まれる白い尻は、ピクッピクッと小刻みにふるえていた。
 ボトルの中身が出尽くしたのを確認してから、ゆっくり引き抜き、今度は指を挿れた。
 クロロのペニスをやさしく擦りながら、こわばるアヌスをほぐしにかかる。
 されるがままの下半身を眺めていると、改めて、この場に居合わせたのが自分で本当によかったと思わずにいられない。こんな状態のクロロを見つけたのが自分ではなく、もし、対立する不良連中だったら……変態野郎だったら……おそろしいことになっていただろう。
(あ、おしり揺れてる……気持ちいいんだ……かわいい)
 クロロが相手では、ひとりよがりのセックスは避けたかった。だから、
「あは、うれしいな……クロロも感じてくれてるみたいで」
 シャルナークは心からの言葉を口にした。
 手の中で少しずつ育つペニスも、やわらかく綻びながらも指に吸いついてくる肛襞も愛おしい。
 指を抜いた後も、アヌスは小さな口を開け閉めしては発情を訴えてくるようだった。
 もちろん、シャルナークのズボンの前は、テントを張った状態だ。
 ジッパーを下ろして、すっかり勃起しているペニスをとり出す。
 コンドームをつけて、ひくつくアヌスに、先端を擦りつける。
 このまま、一気にブチ込みたい――そんな凶暴な衝動を抑えながら。
 肛穴をクプクプほじくられ、汗を浮かべる白い尻が、もどかしそうに揺れた。
 壁の向こうから、くぐもった声が聞こえた。
 ――シャル、意地悪するなよ。
 そう聞きとれた。
「……っ、うん、ごめん……、もう挿れるよ。一緒に気持ちよくなろう」
 クロロを傷つけないように、ペニスをゆっくりと沈めていった。
「…………〜〜ッハァッ、……くうっ……」
 シャルナークは怺えた。
 ローションがほどよくなじんだ腸内は、あたたかく、ぬるぬるしている。そして、締めつけがいつもよりきつい。
 腰を揺すれば、いっそう強い快感が押し寄せてくる。
「あぁ、どうしよう、気持ちよすぎ……っ」
 気を抜いたら、すぐに果ててしまいそうだ。
 暴発を誘う腸壁にあらがいながら、腰を揺すった。
 剥き出しの無防備な尻への抽送を通して、シャルナークの中で、複雑な高揚が蓄積していく。こうしていると、クロロを、意志も人格も無視して、性欲処理用の穴として扱っているような気分になる。恋人という立場を利用して、プライドを踏みにじるような真似をしている。なのに、クロロは許してくれている。うれしい。そこに自分は、またつけ込んでいる。
 自己嫌悪の一方で、背徳的で倒錯的な状況は、昏く屈折した征服感を産む。嗜虐の興奮につながっていく。
「クロロ……どうしよう、腰、止まんない……っ」
 もう少し、もう少しだけと、ピストンの調子が変化していく。
 荒く、はげしいものに。あれほど避けていた、“ひとりよがり”なそれへと近づいていく自覚はあった。が、改めようという気にはなれなかった。
「……うぁ、っぁ……ぃ……」
 壁越しに聞こえるくぐもった喘ぎ声にも、凶悪な衝動を掻き立てられる。
 もっと喘がせたい。もっともっともっと。
 理性を少しずつ捨てていくたびに、快楽が、性衝動が、爆発的に増殖していく。
 狭い肉路を掘り進み、掻き混ぜる。
 荒々しい抽送にも、アヌスはたえて、受け入れている。
 ところが、そんな健気なアヌスとは対照的に、クロロの腰は、逃げようともがいている気がした。
 無駄なことをしている。らしくないことをしている。逃げられないのは、誰よりもクロロが知っているはずなのに。
 どうして逃げるの――?
 シャルナークは、腰を強く打ち込んだ。クロロが逃げられないのはわかっている。けれど、逃がしたくなかったのだ。ひときわ敏感な反応を示す場所を執拗に責め立てながら、彼の鈴口を指の腹でグリグリとほじくってやる。クロロのペニスは、今にも達してしまいそうなほど硬く張り詰め脈打っている。たれ流し状態の先走りが指にぬるぬると絡みついてくる。クロロの限界も、すぐそこなようだ。
「……ゃ……っい……よ…………ル……シャル……ッ」
 前半の台詞らしきものは、よく聞きとれなかった。
 しかし、今にも泣きそうな声が、喘ぎ喘ぎ、自分の名前を呼ぶのはたしかに聞いた。せつない響きが鼓膜をふるわす。腹の奥深くで煮え滾っていた何かが、一気に表へ噴き出してくる。
 手の中のペニスが脈打ちながら射精するのとほぼ同時に、シャルナークのペニスも、クロロの中で達していた。








 穴から助け出した後、クロロは、
「意地悪だったし、乱暴だったし……いつものシャルじゃなかった」
 と、言って、目尻に浮かんだ涙の粒を腕で拭った。
 残念ながら、現時点で、シャルナークの脳内の大半を占めているのは、反省や自己否定ではなく、「クロロかわいい」であった。
 もし、――あまり考えすぎるとはらわたが煮え繰り返るが――同じような状況で、自分以外の誰かに凌辱されたとしても、クロロは涙なんか見せないだろう。どんなに汚されても。どんなに踏みにじられても。
 他人に隙を見せない彼が、“恋人”には、こうして自身の弱い面を見せて、甘えてくれているのだ。かわいくて当然である。
 ……もちろん、まったく反省してないかと言われたらそうではない。
 シャルナークは、傷心の恋人のケアにとりかかった。







2014/10/31
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