甘味の罠
ヒソカ×イルミ イルミ×クロロ 女体化注意 学園パラレル












「ワタシ、コレにするよ」
 フェイタンが選んだDVDは、二人組の若い男が謎の組織によって凄まじい拷問を受ける映画だ。
「スプラッターなら、オレは大勢がサクサクッと死んでくタイプが好きだな。たとえばコレとか」
 シャルナークが手にしたのは、もはやその手の映画のテンプレ、湖へキャンプに訪れた若者たちが謎の殺人鬼によって次々と惨殺される映画だ。
「そういえば、フィンクスは?」
 シャルナークの問いに、
「いつものとこね」
 と、フェイタンは答えた。
 レンタルDVDショップの最奥――ビビッドのきいたピンクカーテンの向こう側には、紳士の花園が広がっている。


 案の定、入口付近の新作コーナーに、彼の姿があった。なにやら手にしたDVDパッケージを凝視しながら突っ立っているではないか。
 その背中のスキだらけなこと。彼らしくない。何があそこまで、彼の注意をひきつけているのか。気になったので、背後からこっそり覗いてやろうとしたのだが……。
「ウオオッ!? おどかすんじゃねェよ!!」
 気づかれてしまった。
「こっちがビックリしたよ。あと、なんで後ろに隠したの」
「別に隠したつも……あ! フェイタンこのやろっ」
「油断禁物ね。……」
 奪い取ったDVDのパッケージを見た途端、フェイタンが眉をひそめた。もとから鋭い目つきが、さらに鋭くなる。
「……」
 彼は無言のまま、シャルナークへ渡した。
「ん? ……ん゛ん?」
 シャルナークも、思わずそれを凝視した。
 パッケージの女優は、黒髪のショートヘアー、黒目がちで、どことなく幼さが残った顔立ちの色白美人だった。
 似ている。「あのひと」に似ている。瓜二つとまではいかないが……。
「フィンクス……」
「な!? なんだその目は! 違うぞ! ちっとばかし団長に似てんなって思っただけで、別に借りようとか……そういうつもりはまったくないぞ!」
「お前団長に失礼。団長の方が、この女より顔小さいしパーツも整てるね」
 フェイタンは、声を低くして言った。全身で不快感をあらわにしている。
 一方、フィンクスの油断と動揺の正体が判って、シャルナークが、爽やかな顔で訊いた。
「で、ほんとに借りなくていいんだ、『文系女子校生クロナちゃんのペット性活』」
「だから借りねーッつってンだろうが!」








 オープンしてまだ間もないラブホテル。
 ヒソカとイルミは、大きなダブルベッドの上で寛ぎながら、備え付けのテレビでDVDを観ている最中だった。タイトルは、「文系女子校生クロナちゃんのペット性活」。美少女女子校生クロナが、同級生の男子生徒や担任の教師たちから性的な調教を受けて、彼ら専属の性処理ペットへと堕落していく物語だ。しかし、ふたりは作品のストーリーや出演者の演技には、まったく関心がない。ふたりの関心の矛先は、主演女優の「容姿」の一点。
「似てると言われれば似てるし、似てないと言われれば似てない」
「つまり?」
「微妙。もっと言えば、クロロの方がカワイイね」
「うん。ボクもそう思う」
「パッケージの写真は、けっこう似てるのに」
「動画だとさ、写真じゃ判らないその人の声とか仕種とか……本人(クロロ)との違いを比較できる要素が増えるからじゃない?」
「なるほど。……ところでさー、アレ、なに?」
 と、イルミがテレビ画面を指さした。
 制服姿のクロナは、股間が開いた状態になるよう左右の足をそれぞれ椅子の脚へ縛りつけられている。ブラウスのボタンをすべて外された上、ブラジャーをたくし上げられているので、乳房も丸見えになっている。彼女は、その無防備な乳房や股間を、複数の男たちに、さまざまな玩具で責められて、ひっきりなしに喘いでいた。
「どれのこと?」
「あのこけしみたいな先っぽがブルブルしてるヤツ。バイブやローターとは違うよね」
「あー、アレか」
 電動マッサージ機のことだった。
「普通は、肩が凝った時なんかに使うんだけどね」
「へー」
 お嬢様はまじまじと、クロナの乳房や秘所を責める電動マッサージ機を見つめる。
『ひあぁぁンッ! やぁあぁ! も……もうダメェッ! イクゥッ! イッちゃうぅうぅぅううッ!!』
 やがて、甲高い絶叫の後、クロナの秘所から黄色い飛沫が噴き出した。
「あ、漏らしちゃった」
「キミ、さっきから随分な食いつきようじゃないか。もしかして、アレに興味があるのかな?」
「いや、なんとなく気になっただけ。アレって、本当に漏らすほど気持ちいいモノなの?」
「そういうのを興味があるって言うんじゃないかな」
「……で、気持ちいいの? それとも女優の演技?」
「なんなら試してみようか」
「え?」
 このラブホテルでは、多種多様なアダルトグッズをレンタル、および販売している。その中に、電動マッサージ機も売られていた。


「――もう、いい……ッ……止めて」
 イルミの声はうわずっていた。それは、感情の乏しい普段の声音とは、明らかに違っていた。
 ヒソカはマッサージ機のスイッチを切った。耳障りな機械音が止まる。
「はぁ……」
 イルミの息は荒い。白い額や首筋はしっとり汗ばんで、火照っていた。
 振動に揉みこまれていた彼女の秘所へ、ヒソカは中指とひとさし指を挿れた。膣肉は熱く煮えて、物欲しげに指先に絡みついてくる。指を抜くと、ねっとりした愛蜜が糸をひいた。
「ヒソカ……」
 と、イルミが、長い美脚をより開いて、まだ子どものような幼い陰唇を指でめくってみせた。愛蜜まみれの肉粘膜は、てらてら濡れ光っている。
「このまま挿れて」
 ヒソカは、その可愛いおねだりに応えた。イルミの普段と違う反応を観察していた彼自身も、すでに昴ぶっていた。ひくつく秘所へ、勃起ペニスの先端をあてがって、貫いた。すっかりヒソカ用に出来上がっている肉壺は、新しい蜜を滲ませながら、彼をよろこんで迎え入れた。
 突いては引き抜き、引き抜いては突き返す。
「……はっ……ふぅ……んぅっ……」
 喘ぎ声を我慢して、それでも洩れてしまっている。
「――な、に、するつもり……?」
 ピストンの最中、電動マッサージ機を手にしたヒソカを、イルミが見つめる。ペニスにすがる肉襞が、キュゥッと収縮した。警戒している。緊張している。
「そう怖がるなよ」
 ヒソカは低く笑って、電源スイッチを押した。そして、再び唸り震え始めた硬い機械の先端を、剥いたクリトリスへ押しあてた。
「え、ちょっと、そんな、待って……〜〜ンくッ! あっ、は、あぁ……ッ!」
 強烈な快美に、しなやかな肢体がのけ反る。
 膣筒がうねり、悶え、痙攣している。
 感じきっている女体は、急所への集中攻撃に負けて、限界を迎えようとしていた。
「あぐっ……ダメだって、ば……んァ……それ、刺激、強す、ぎ、だから……ッあ! ゃだ、やだっ……くぅ、うゥゥっ!」
 ――ピシャッ……プシィィィッ……!
 秘所から蜜液を噴き散らせながら、イルミは達した。


 ヒソカがシャワーを浴びて戻ってくると、イルミは電動マッサージ機の電源スイッチを押したり切ったりしては、細かく振動する先端部を眺めていた。
「よっぽど気に入ったみたいだねェ」
「あのさー、コレ、男のアレに使ったらどうなるのかな」
 あ、まずい、始まった――ヒソカは笑顔を崩さず内心で呟いた。
 会話が噛み合わなくなるのは、マイペースかつ理不尽なイルミワールドのわかりやすい前兆(サイン)だ。
「ヒソカだって興味あるだろ?」
「そうだなぁ……あると言えばあるかな」
 ボクはどっちかって言うと「される」より「する」側の方が好きなんだけど……という本音はしまっておいて、イルミに話を合わせておく。
「やっぱり。じゃあさ、せっかくだし、試させてよ」
「それは構わないけど、イルミ、おなか空いてない?」
「……空いてる。空いてるけど、すぐ終わると思うし、食事はそれからでも遅くないだろ」
「そうだね。ただ……この近くの美味しいお店を知ってるんだけど、そこさ、人気店だから今の内に行かないとかなり混むんだよ。それに、オープン10周年記念とやらで、今しか食べられない期間限定メニューをやっててさ。たしか、今日が最終日だったかな」
「へー……そうなんだ。…………わかった。そこに行こう」
 空腹という状況と、合理的な性格が幸いした。イルミが、ようやくマッサージ機を放り投げたのだ。
(さあ、これからどうなるか)
 ヒソカは支度をしながら考えていた。イルミは、こちらが下手に反論すると、独特の理屈で捩じ伏せてこようとする。だから、まずは本人の意見を尊重し受け入れたように見せておいてから、さりげなく別の好条件を提案するに限る。オマケに、自分ほどじゃないが彼女にも気まぐれなところがあるので、夕食後には「男に電動マッサージ機を使う」という興味は失せているかもしれない。それでも、まだ諦めていなかった場合は、これはもう、興味のベクトルを変えさせるしかない。
 「される」より「する」側のヒソカは、電動マッサージ機の実験台になる気はさらさらなかったのである。
 そして、万が一の「スケープゴート」も、すでに決めていた。





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