好奇心の嗜虐性
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その若い高校教師には裏の顔があった。気に入った女子生徒や女教師の弱みを握り、逆らえない彼女たちを性調教する倒錯者という顔だ。これまで何人も毒牙にかけてきた。成功を約束された美しい女性たちを快楽の前に屈服させ、堕落させ、征服することで、彼はその異常性欲を満たしていたのだ。
立場上、個人情報は手に入る。
自身でも校内を散策等、ターゲットの弱みとなる情報を手に入れるための努力はするが、限界がある。
そこで、一番の情報源となるのが、探偵業を営む悪友の男だ。彼には依頼料とは別に、報酬として、自らが調教して堕落させた美少女たちも与えていた。悪友は、筋金入りの好色家だが、探偵としての洞察力や情報収集能力はたしかなものだった。
今回もうまくいくと思っていた。
クロロ=ルシルフル。
大きな黒い瞳の美少女で、今回のターゲットの一人だ。少し小柄だが、均整のとれた体つきをしている。
成績は全国でもトップクラス。
他の生徒や教師からの信頼も厚い。理由は、そのずば抜けた統率力だ。発表会にしろスポーツにしろ、彼女がリーダーとなったチームは必ず優秀な成績をおさめる。
学園が管理しているデータによると、両親とは既に死別していて、遠い親戚の男が後見人になっているとある。現在はマンションでひとり暮らししているようだ。
それ以上のことはわかっていない。
探偵が、彼女を調査中に失踪してしまったのだから。
今回のことが原因なのか、別件でトラブルに巻き込まれたのか、わからない。
学園内でのクロロは絵に描いたような優等生だが、その交遊関係は奇妙だった。近寄りがたい雰囲気をまとっているヒソカやイルミとも交流がある。他校の、それもガラの悪そうな男子生徒数人と一緒にいるのを見たことがあると話す生徒もいる。
誰とでも分け隔てなく接していると言えば聞こえはいいが、教師には、クロロの交遊関係が、ひいては彼女自身のことが、そんな言葉で片付けられるほど簡単なものではないような気がしていた。
予感だった。
よくない予感だ。
誰にでも、他人には見せない、見せられない、見せたくない裏の顔というものがある。クロロにもあるだろう。そこに、この優等生の弱みとなるモノがあるかもしれない。
探偵が消えてから、しばらくは大人しくしていた。
しかし、二週間が経過しても、特に変わったことは起こらなかった。悪友と連絡がつかないことを除いては。
――あいつの失踪は、クロロの件とは関係ないのかもしれない。
日が経つにつれ、教師は次第にそう考えるようになっていた。
そして、なにより男は、自身の欲望を抑えきれなくなっていた。
ターゲットは彼女だけではないのだ。
問題児ながら肉感的な肢体のヒソカ。
人形めいた美貌のイルミ。
極上のエサを前に、おあずけを喰らっているような気分だった。
この二人とも繋がりが深いであろうクロロを先に堕としておけば、残る彼女たちの攻略も楽になるだろうと考えていた。
ところが、探偵がいなくては、決定的な弱みを見つけることは、もうできない。
そこで、彼は手荒な手段に打って出た。
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