ONE PIECE [LC] | ナノ


と子供と愉快な隊長たち

「......」
「......」

この反応は当然と言えば当然だ。大概の連中がこうなって油断した隙に狩られるハメになる。
自分の力を過信する馬鹿も多いが、他人を見た目で判断する馬鹿も俺からすれば救いようがないわけで...そういう連中は片っ端から頂いて片っ端から突き出して俺らの生活の糧となる。でも、そうするにはデカすぎるなあ、この海賊団は。

「エースよい」
「おう」
「子供だな」
「おう、子供だった」

シンとエアは推定するに5、6歳くらい。俺はそこまで若くないが...目の前にいる白ひげ隊長連中は倍は生きてるだろう。それを考えれば俺らは子供だ。ハナタレ小僧と言われても仕方ない。つい最近生まれたばかりの赤んぼじゃねえかと言われても仕方ない。

「誰が子供拾って来いって言ったかい」
「......マルコ」
「おれかい!んなこと言ってねェだろい!」
「でもこの辺で有名な賞金稼ぎ連れて来いって...」
「だから、てめェが連れて来たのはガキだ!」

あれが白ひげ海賊団一番隊隊長「不死鳥マルコ」か。変な髪型だな。
で、俺らを連れて来た「火拳のエース」に横に居るのが残り14部隊の隊長たち...か。揃いも揃ってデカいな。
もし万が一、全員狩れたら間違いなく一生遊んで暮らせるんだが...その前に殺されるのも間違いない。賭けるにはデカすぎるリスクだ。

「言ったなマルコ。よし、実力見せてやれシン!エア!セト!」
「てめえが決めんな。つーか、歓迎されてねえから俺らは帰る」
「いーやダメだ。お前らはもうおれの兄弟だ!」
「だから勝手に決めんな」

まだ一言も「海賊になる」とは言ってねえし、ここまで来たのもお前が二人を連れて走った所為だろうが。
それに兄弟だあ?俺はこのちっさいのの面倒を見るので精一杯なんだぞ。プラスしてお前みたいなマイペースな輩の面倒なんざ見れるかよ。手に負えねえだろうが。お前は絶対言うこと聞かねえし、話もロクに聞かねえタイプだろ。

「シン、エア。ちょーっとお兄ちゃんと戦わないか?」
「待てエース!」

子供をたぶらかすヤツがあるか!

「エースちゃんと?」
「そうだ。エースちゃんに勝てたら美味しい物を奢ってやろう」
「......ぼく、エースみたいなぼうしがほしい」

帽子!?
しかもエースが被ってるみたいなヤツがいいのか...こないだ町に下った時には一言も言わなかったじゃねえかシン。

「あたしはぬいぐるみがほしい。セトちゃんのはかわいくない」

!?
エアの希望通りのヤツを作ったぞ俺は。得意じゃねえのに手製のぬいぐるみだぞ。

「おーし!じゃ、欲しい物買ってやっから全力で勝負だ!」
「「うん!」」

ヤベ、めちゃくちゃやる気になってる。二人が手を繋いだら完全に本気だ。制御は勿論、何をして来るかも想像出来ない。
しかも、此処は海辺だ。エアに一番有利なものが嫌というほどある。一歩間違えば俺たちだってヤバイことになる。

「止めろシン!エア!」
「止めたきゃ勝手に止めるんだなァセト!」
「エース...っ、クソッタレが!!」

ニヤニヤするエースを罵倒するも意味はなく、シンとエアはすでに陣を作り上げて高い位置へ。そんな場所に居られたら俺の声も届かない。誰かに助けを乞おうにも何も無い。ただ向こうの隊長たちはこのやり取りを見ているだけ...誰も何も言わない。動く様子もない。

「シン!エア!」


「「"ゆらゆらゆらせ、おおつなみ"!!」」



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