ONE PIECE [LC] | ナノ




ヴィーザルに入国した俺たちは慌ただしくも物資の補給を始めた。
この国での停泊期間は7日を予定しており、早く準備を済ませた部隊は残りの時間を適当に過ごして良いことになっていた。街に出るも良し、船に残るも良し。ただ騒動だけは起こさないこと。そういう約束でだ。
その後、俺たちはヴィーザルを出航するわけだが...出航後の進路としてお隣にある夏島へ行く予定はないらしい。つまり、エイル王国への入国はしないことになる。となると"水着ギャルげっちゅー"とか抜かすサッチを含め、この期間に是が非でも行きたい連中はさっさと仕事を終えてエイルへ自力で行く必要がある。どうにかしたいヤツらは必死だ。

「シン、エア。俺たちは買い物に行くぞ」
「「はーい」」

そんな死に物狂いで仕事をこなそうとしている連中を横目に俺たちは俺たちの仕事をすることにした。
入国手続き中にオヤジたちに呼び出されて「死ぬほど買い物して来い」と大金を預かった。シンやエアはただ喜んだが俺は気が気じゃない。これが全く減ってなかったらオヤジにキレられ、ナースたちに更に連れられることになる。プレッシャーもいいとこだ。

「沢山買ってもらえよい」
「「はーい」」

ボロボロ、見苦しい、小汚いと言ったマルコが甲板から手を振る。とりあえず...二人の買い物から始めることにした。



街には明らかに海賊だと言わんばかりの連中が闊歩していた。その近くには気にした風でもない国民も普通に歩いていて...不思議な感覚を覚える。"襲われない"と思えば安心なんだろう。凄い国だ。

「まずは洋服から買うか...」
「「はーい」」
「適当に...そこの店に入るか」

ディスプレイセンスから適当な服屋に入る。するとそこにはどうしようもない程の陳列棚と服がごっそり。「うっ」と嫌気が差すぐらいの商品の山、捜すのが本気で面倒だと思っても仕方ないくらいの店。流石、貿易の街だ。俺らが入って来た店とは規模が違う。

「いらっしゃいませー」

にこにこした女性店員が語尾を伸ばしながら近づいて来た。

「.........ども」
「何をお探しですかー?」
「こいつらの服......適当に欲しいと思って」
「キッズ用ですね。こちらにありますのでどうぞー」

どうぞーと案内されて奥の方へ行くと、これまたガッツリの服、服、服。何かもう、吐きそうだ。

「どういった服をお探しで?」
「.........この子たちの着たい服、何でもいいんで、選んでもらえます?」
「有難う御座います。えっと、失礼ですがご予算はおいくらぐらいでしょうか?」

ジャケットの下に隠れた鞄の中身「1000万ベリーが予算です」なんて、口が裂けても言えねえ。

「あの、特に制限はないんで...トータル一人30着前後お願いします」
「.........お一人様で30着?」
「30着」
「下着とかも...30枚?掛ける2、ですか?」
「掛ける2で60枚......とにかくトータル30日分お願いします」

春でも夏でも秋でも冬でも......とにかく着れる服!見た目はアレだけど金はあるんだ。強盗もしねえ!
とにかく二人の服を適当に、とお願いしていると不意に店員が「あ...もしかして、」と呟いたから「はい?」と返事した。

「海賊、さん?」
「.........まあ一応...こんなですが」
「それでですね。だったら早く言って下されば良かったのに。あ、でもこんなに可愛らしい海賊の方は初めてです」

ぽんっ、と手を叩いていかにも「謎解けました」みたくリアクション取られても...
でも色々と納得してくれた店員はとてもスッキリした様子で二人の服を選び始めてくれた。採寸しながら意見を聞きながら。お陰で少しだけ気が楽にはなったが何かこう、疲れた気がする。基本的にこういうのに慣れてない所為だろうが、とにかく疲れた。

それにしても......「職業、海賊」と言われて物怖じしない一般人ってすげえ。

「着回しのいい服からオシャレなのから沢山入れちゃってもいいですか?」
「ああ...好きにしてくれ」

どうせ予算オーバーとか有り得ないから。
そう思って適当に返事をすれば「有難う御座いますー」と喜んだ店員は手際よく服を選んではカウンターへバサバサガサガサ置いてく。それでもシン用とエア用の区別はしてくれているらしく山は二つ。それを見て...持ち帰れるかどうかが不安になった。


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