コールおまけ
だってアイツらが悪いんだ。
「なっ、これっ、」
おれの目の前にチラつかせている一冊の本。
ぶっちゃけ本とか読まねェし興味ねェし。だけど表紙こそなーんもなくて何コレってカンジの本なんだが、一枚はらりとめくればすぐにその正体が分かって思わず慌てちまった。ついでに手も伸ばしたけどイゾウにスッと交わされて...また何の変哲もない本へと戻った。
「ん?あァ...皆で掻き集めたら写真集が出来ちまったんだ」
「ナースからも集めたからきわどいのもあるよい」
「くれ!!!」
「はァ?馬鹿かおめェ」
ぱらぱらっとめくられた本の全てに......って考えたら用途色々で当然欲しいに決まってる。
「さァて、どうするエースくん」
「.........誰か一人にでも勝ったら貰うからな!」
「勝てたらな」とイゾウは笑った。
この始まりを作ったのはイゾウだった。
どっかの町で海軍と遊んだ時があった。つーか、向こうは真剣におれらを追って来てたんだがそこはさておき。その時イゾウが「キョーミあるから」とカメラをごっそり盗んで来たんだ。そっからまァ写真ブームが始まった。オヤジからナースから色々、とにかく写真を撮る連中が増えて...その中にあいつも含まれた。日常の姿、戦う姿、ちょっと町ではしゃぐ姿。どれもこれも隠し撮りに違いねェがうまく撮れてた。
うまく撮れ過ぎてて...ソレがいつの間にかおれ専用のイゾウの賭け金となった。
気付けば...他のヤツの賭け金もその物品になった。
つーか、なんでお前ら気付いたんだって聞きたかったけど敢えて聞くのは止めといた。だって、お前分かりやす過ぎって言われそうだったから。
何度あいつに怒られても何度あいつに溜め息吐かれてもおれはこの泥沼から抜け出せない理由は決まってソレ。それは...全部アイツらが元凶でアイツらの所為だけど...あいつも悪いんだ。警戒心もなく知らねェとこで写真とか撮られやがって。
「あいつ、背中にホクロあんだなァ」
「せ、背中!?」
「内腿にもあるっぽい。てか、ナースたちもえげつないアングルで撮るなァ」
「うっ、内、腿っ、」
「.........鼻血、しまえよい」
警戒心!マジで警戒心持って生きろ!!相手がナースでもだ!!
背中とか内腿だとか...そういうのはフツーに露出されてねェ部分で、その、ぬ、脱がせねェと見えない部分でいいんだ!普段隠されてるからイイんだ!けど見れるなら見たいし、写真があるなら欲しいに決まってる。
「ベレッタはおれのだ!も、見んな!!」
「ほォ、強気じゃねェかエース」
「だねい。それ、本人に伝える勇気ねェのに」
「どうせ今日も"助けてお姉ちゃーん"ってするんじゃねェの?」
ゲラゲラ笑われてムッとするも言い返せない。助けてもらってんの事実だし。
「さァて、言い返せなくなったとこでゲームでもしようか。エース」
イゾウが笑う。マルコもサッチも悪う。
おれは一人不貞腐れながらも結局、勝負しちまうんだ。
(オマケ) 何の本?それはアナタの写真集、な話。
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