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#02

自由すぎる私立白ひげ学園高等部。
教師・生徒共に服装自由(この中に髪型やピアス等の装飾品も可ということがさっき判明)、最低単位さえ取得出来れば学級崩壊にも似た生徒入り乱れ授業となっても良い(愛ある体罰ならば可。教師を尊敬出来れば生徒たちのフレンドリーも可)。

うん、これだけでも充分驚き要素には違いありませんがまだまだありました。


「すまんすまん。このプリント渡し損なってた」

と、担任のシャンクス先生が手渡したのは...面相雑談スケジュール表?と書かれたプリント数枚。
まず突っ込みたいのはその四字熟語です。面相雑談なんて単語はない。多分、面談・相談・雑談という意味だと思うけど......誰と?みたいな。それが記されてないのもまた突っ込みどころ。
それから2枚目以降は全部校内の地図。教室名称から特別教室、倉庫など細かく書かれていることから見取図と言っても過言じゃない。これも...何だろう。

「いいかァ、正当な理由がない限り、絶対指定時間に指定場所へ行けよー」

......あ、生徒一人一人で場所が違う。
それに指定時間も所要時間も...妙にまばらだ。

「先生。肝心な面談相手が書かれていませんけど」
「イイ質問だナミ。だが!緘口令が敷かれており、おれは教えられねェ」
「何ソレ」

全く同感。何ソレ、だ。

「いいかァ面談を先に受けたヤツも絶対相手が誰だったかは言っちゃいけねェ。おめェらは監視されてる。言おうものなら生活指導のサカズキ先生から5時間説教されるぞ」

ゲッ。集団行動指導ばかり行う体育教師で生活指導のサカズキ先生の説教とか嫌すぎる。

「約束・秘密を守るのも社会人になったら必要だ。必ず守れ。以上」

ホームルームはそれで終わった。



.........ということで。
プリントを見たら、放課後のホームルームの途中を抜けて(そういう時間に指定してあるから)学園北部にある書庫に向かってる。えっと、こちらは一応、立ち入り禁止区域とされている場所になってるけど...いいんだろうか。いや、絶対に行けと言われたから行かなきゃいけないけど...あ、行けない正当な理由に当てはまる、ような。

「おおーい、待てそこのー」
「え?」
「そっちは立ち入り禁止じゃ!」

あ、タイムリーに用務員のオジさん...ってかおじいちゃん?が竹箒を片手に走り込んで来た。この人に聞いたら善し悪しが分かるかな。

「あ、あの、丁度良かった。お聞きしたいんですけど...」
「ん?何じゃ?」
「私、面談に呼ばれていまして...」
「あァ」
「指定場所が立ち入り禁止区域内の書庫でして...」
「ふむふむ」
「行くのは当たり前だと思うんですがそこに立ち入って良いのか悩んでいます」

どうしたらいいですか、と用務員さんに聞いた。
すると、その人はニカッと笑って腰に手を当てて笑いながら答えをくれた。

「わしゃ知らん!好きにせい」

う、うわあ。一番困る回答だ。
好きにしていいだけ捉えるなら「立ち入り禁止区域に入ってもいい」ってことにもなる気がするけど...立ち入り禁止だから立ち入りは禁止なはず、だよね。正当かつ正論...けど、

「う、うーん...」
「おぬしの好きな道を選べ。なァに簡単なことだ」
「は、はい...有難う御座いました...」

背を向けたおじいちゃん用務員さん。けど悩みが増えました。
行くか行かないか...でも、もしかしたら面談相手の誰かが待ってる可能性もあるってことで...

「あ、あの!!」
「んー?」

立ち止まって振り返った用務員さんに掛けよると...
何故かドヤ顔された。何か待ってましたーみたいな顔をしてる気がするけど気の所為、だよね。

「私、今から担任の先生に話して来ます!ですから...もし、中にお待ちの方がいらっしゃったらご迷惑をお掛けするので行けない旨を伝えて頂きたいんですけど!」

って、こんなこと...頼んでもいいのかなあ。

「担任には何を言うつもりじゃ?」
「えっと、立ち入り禁止区域だったのでその場に行くことが出来ません、と」
「ほう。じゃが指定場所はその区域じゃろ?」
「はい。でも...禁止ですから行けない、です」
「それでわしに伝言を?」
「は、はい...お手数をお掛けしますけど」
「.........そうじゃのう」

じ、時間がそろそろギリギリになって来た。
たまたま見つけた時計が指定時間に差し掛かってる。約束・秘密厳守ってシャンクス先生の声で聴こえる気がする。ま、空耳に間違いないけども。

「ふむ。よし!合格!!!」
「.........へ?」
「ほれ。許可証じゃ。これ持ってヤツのとこに行くがいい」

手渡されたのは「ガープきょかしょう」って書かれた(しかも汚い字)だけの紙切れだ。この人...ガープさんって言うのかな。

「説明は後じゃ。時間がないぞ」
「あ、はい!では行って来ます!有難う御座いましたガープさん!」

その「ガープきょかしょう」をポケットにしまい、頭を下げて私はダッシュした。


後々になって知った話、これは自己判断力・行動力を問われた試練の一つだとかで生徒たちがどうするかを個々に見ていくものなんだということが判明した。けどこの件もまた口にしてはいけない、と緘口令が敷かれている。変わった学校なのです。

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