テニスの王子様 [DREAM] | ナノ

Days

冷酷そうで陰険そうな眼鏡。
言葉の端々にはトゲが付いてそうでソレが刺さったりしたら致命傷になりそう。というか致命傷。
死ぬよ私。よりによって何故そんなのが私の勉強を見てるんだろうか...毎回思う。先生は何処に行ったんだ?

「にょっ!」
「集中!今全く関係ない事考えてたでしょう?」

丸められた新聞紙が容赦なく私の頭に向けられた。スッパーンと。
先生以上の威厳と恐さと厳しさで彼はうーんうーん唸る私の傍で監視を続ける。そう、私は類稀なる馬鹿だ。付ける薬もないくらい馬鹿で放課後、必死になって勉強させられてる。何故か、木手氏監視の下で。

「いいですか?この問題を理解するまで家に帰れませんよ」
「.........ふぁい」
「もう一度説明しますからきちんと理解して下さい」

理解、だなんて私の脳内辞書には意味すら書いてないと呟いたらまた叩かれるだろうか。
どうしてなかなか私の脳には数式が刻まれない。文章とか歴史とか、そういったのは結構刻まれるんだけども数字とか数式とかは何か文字化けしたようになる。お陰で数学は赤い、歴史も...年数はめちゃめちゃでソレだけは×。現代文の15文字以内とかの抜き出しも文章内からわざわざ数えて探してしまう。そして何故かパニくる、間違う。

色々と考えた結果、数字が絡むと異様なくらい馬鹿になるって先生に相談したら何故か木手氏がやって来たんだっけ。

「.........と、なります。分かりましたか?」
「えっと、うん、何か、無理、っぽい、です」
「.........」

またスッパーンと丸めた新聞紙で叩かれた。これってDVだと思う。

「もうすぐ受験ですよ。無理っぽいでは進学出来ませんよ」
「うー...」
「自宅から徒歩数分の志望校に行きたいんでしょう?」
「うー...行きたいデス」
「だったら本腰入れなさい。説明しますから」

木手氏はそう言ってまた真っ白なノートに一から説明するべく計算式を書き始めた。
これで何回目か。全ての例題の計算が終わろうとしてる。
頭に残るよう一生懸命見て、聞いて、理解しようと努力はする。多分、馬鹿に分かるように説明してくれてるんだろうけど...木手氏の暗算が早すぎる件が気になる。ついでに異様なくらい字が綺麗なとこも気になる。それから...

「ねえ木手」
「何です、質問ですか?」
「いや、勉強とは関係ないんだけど...なんで私の家とか志望校とか知ってるの?」



致 命 傷



ピタリと止まった手。ペンが止まったから私は顔を上げた。
「それが知りたかったら勉強しなさい」と、まるで子供を扱う母親のように溜め息混じりに木手氏は言った。

2012.09.24.



(7/7)
[ 戻る付箋 ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -