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「なまえさんおはようございまっす!」
『...あ、信長おはよう』

ビクッと肩が揺れて自分でも驚いたわけだ。いやいや流川じゃなくてよかったなんて思っちゃう私どうなのよ?!えぇ?!だっておかしいよ私のファーストキスがあんなシチュエーションでしかも部活の後輩に持っていかれるなんて...クゥ!!彼氏ができないことってわけだったけどそれでも大事にとっておいたということにしておいてたのに!!

「どうしたんすか?何か考え事?」
『あ...ううん、だっ、大丈夫!』

モヤモヤ考えめぐらせてたら突然信長にひょこっと顔を覗かれて結構マジな感じで驚いた。やばっ、近いよ信長の馬鹿。距離感考えてよね、もう...

そういえば全然気にしてなかったけど信長って普通に整った顔してるよなぁ...あ、同じクラスの沢北なんかもなかなかのイケメンぶりだし仙道くんや大ちゃん...藤真さんに至ってはファンクラブも存在するレベルだし...あっ、もちろん忘れてないよ宗ちゃんもねイケメンだから!忘れてないから怒んないでよね!!

ていうか何を今更そんなこと思ってるんだ私は。流川が万年寝太郎寝坊助なのもイケメンなのもわかってたことなのに...いやでも大事にとっておいたという名の未経験ファーストキスだぞ、やっぱり怒って当然...いやでもあれは事故だし...

「...なに不細工な顔してんの」
『(?!)...わぁぁあ!宗ちゃん?!』

答えの出ない悩みにいよいよ頭がおかしくなりそうになっていたら隣からギュッと頬っぺたをつままれて驚いてたらジトッとした視線で私を見つめる宗ちゃんがいたわけだ。ヒェェェ!だから近いってばぁ...ていうか宗ちゃん、頬っぺた離してよ...!

『はっ、離してよぉ...』
「嫌だ」
『痛いし恥ずかしいし...』
「そう?可愛いよ?マヌケだけど』

両サイドから唇に向かってグッと挟まれるようにつままれてるから超しゃべりづらいし頑張って口開けると魚みたいにパクパクなるから宗ちゃんは半笑いしてた。なにムカつくなぁもう!!

「ところで何考えてたの」
『信長ってイケメンだなぁってこと』

ちなみに信長どこいったのいつ別れたんだ?気になってキョロキョロ見渡すものの既にここは2年の階でありもちろん信長がそこらへん歩いてるなんてことはなかった。あぁ気付かないうちに別れてたんだねごめんね...

「...信長ね、ふぅん、ああいうのがタイプか」
『いやぁタイプとは言ってないけどさぁ』

パッと頬っぺたを解放されてやっぱり普通に喋りやすいなぁってニヤニヤしてたら対称的に宗ちゃんは氷のような冷たい目をして信長ね、うんうんなんて呟いてた。相変わらず体感温度下がるよ宗ちゃん...

「わかったよ信長ね、それで?俺のことは?」
『宗ちゃん?そりゃイケメンでしょうよ、モテるし』
「だからモテないって言ったよこの間も」

あん時は日直の話してただけだからっていつかのそれをその場が凍るような冷たい態度で解説されてとりあえず全力で頷いておいた。なに、なんで突然機嫌悪くなるかな...扱いが難しいんだよ宗ちゃんは!

「イケメン以外でどう思ってる?」
『...冷たい時が多いから怖いけど努力家で尊敬してる』
「...ふぅん」

なにその返事は!自分から聞いておいてまったく!それでも先程よりは満足そうな顔して頷いてるからまだマシかぁ...そう思ってたら後ろからおはようなんて声かけられて振り向けばなんかつまらなそうな顔した沢北が立っていた。なに朝からどうしたの。

『おはよう沢北、つまんなそうな顔してるね』
「朝から見たくないもん見たんだよ」
『えぇ?かわいそうに...』

ついでに聞きたくないことまで聞いたんだ最悪だよって呟いてて朝から災難だなかわいそうにって思ってたら突然宗ちゃんが舌打ちしたから驚いた。えぇ?!やっぱり機嫌悪かったのね...!ヒェェェ!

「あーなまえちゃんおはよー!」
『おぉ仙道くんおはよう』
「朝から廊下で会えてラッキーだなぁ」

そんなところに仙道くんがゆっくり歩いてきてうわぁちょっと前見えてる?!距離!止まってよ!なんて思ってたら案の定私に向かって突っ込んできてスポッと仙道くんの腕の中に収まったわけだ。ぬっ?!前が見えん...うわぁぁあ!いい匂いする!!

『なっ?!何するの仙道くんっ!』
「いやぁ可愛いからついつい」

ギュッと抱きしめられたままスリスリ私の頭に自分の頬を擦り寄せてきて破壊的にドキドキが止まらなくなったわけだ。

「おぉなまえちゃん心臓の音速いけど?」
『そりゃそうだよッ...?!うわぁ?!』

もう離してくれーと若干暴れてたら突然解放されて多分宗ちゃんと沢北が剥がしてくれたのは横目で確認できたんだけど今度は違う香りに包まれたわけだ。上を見上げれば私の肩に腕を回した宗ちゃんがいた。ヒェェェ!そ、宗ちゃん...!

「...仙道、覚悟はできてるんだよね?」
「なんだよ神、別にお前のもんじゃねぇだろ?」
「なるほどねわかったよ」

静かにそう呟くと私を引っ張って教室まで送ってくれた宗ちゃん。終始無言で怖いけど掴まれた腕が妙に熱くて宗ちゃん体温高いなぁって思ってた。

「...余所見したら潰すからね」
『ヘッ?!潰す?!』
「...いや、何かあれば俺に1番に相談して」

ちなみに信長はイケメンじゃないからってそう捨てゼリフを吐いて私の教室を出て行った宗ちゃん。なに今の物騒なセリフはどういう意味だったのかなぁ...

「んだよほんっとにどいつもこいつも!」

その後プリプリ怒った沢北が遅れて教室に入ってきて椅子に座る私の目の前で頬杖をついて至近距離でこちらをギロッと睨んできたわけだが宗ちゃんに比べると対して怖くもないから軽く無視しておいた。マジでなまえのせいで...とか言われたけどもう聞き返すのも嫌だ。



みんなしてなんなんだ意味わかんない

(仙道くんいい匂いだったなぁ...)
(気持ち悪いこと呟いてるピョン)
(?!なんでピョン吉がここに?!)





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