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平凡な1日かと思っていたその日の昼休み、事件は起きたのです。

いや待って。平凡かと言われたらそうでもないぞ。朝から流川に自転車で突っ込まれてその勢いで前歩いてた三井さんにダイブしちゃって三井さん顔真っ赤になっちゃって、多分あれは相当怒ってたなぁ、口には出してこなかったけど...休み時間は教科書ほとんど仙道くんに持って行かれたし帰ってきた教科書には全部相合傘書いてあったし...安定の宗ちゃんからの睨みもあるし、こりゃ平凡というより日常ですね、ま、結局は平凡な1日です。

て、そんなことどうでもよくて!

とにかく事件は起きたのです。昼休み。私がいつものように宮城と沢北と彩子と4人でご飯を食べていた時...

「おいおいおいなまえいるか?!」

バタバタ廊下を走る音が聞こえてうるっさいなぁ、静かに歩けよなんて思ってたらそのまま私のクラスの扉がバンッて壊れそうな音立てながら開いて、叫ばれたのは私の名前で叫んだのは岸本さんだったわけだ。あ、隣には涼しい顔した藤真さんもいるぞ。

『なっ?!どうしたんですか?!』
「いーから来い!大変やねん!」
『ちょっ、どこへ?!あわわわッ!』

速い!足が速すぎる!
岸本さんにグイグイ引っ張られ口の中に残ってたからあげが風で飛んでいきそうになった。いかんいかん、今は喋っちゃダメだ!

「大変やねん、一大事や」
「ま、半分楽しんでるけどな」
「うっさいな藤真、ええんやはよ行くで!」
『(な、何事ー?!)』

中庭に連れて行かれると急に失速して藤真さんの背中に突っ込んだ。イテテ...なに急に止まらないで...ってアレ?あの後ろ姿は南さん?と他校の制服の女子!え、他校の制服?!

『ど、どんな状況ですか?』
「あの女な、南の元カノやねん」
『も、元カノー!もしや修羅場?』
「ちゃう、まだな。いまから修羅場になんねん」
『今から...?』

ニヤニヤする岸本さんに呆れてハァとため息をついた藤真さん。え?なにどういうこと?!なぜ私が連れてこられたの?

「かわいそうにな、なまえ」
『藤真さんそれどういうことです?』
「さぁ行ってくるんやなまえ、頑張れよ!」
『えっ?!ちょっ?!なに?!』

影でコソコソ見てたのに突然背中を押されて2人の近くに飛び出した私...え、どういうことなの?!

「ッ!なまえ!」
『みっ、南さん、こんにちはー...ハハ』
「なに?!この子がなまえちゃんやな?!」

しまった!って顔した南さんと小柄な女の人と順番に目が合ってなぜか冷や汗が出た。ヤバ、なんでこんなに知らない人に睨まれてるの私、元カノ怖いな、宗ちゃんかよ...!

「おまっ、なまえは関係ないやろ!」
「大いに関係あるわ!この子のせいやんか!」
「ちゃうわ!俺が勝手に想っとっただけや!」
「せやから関係あるんや!この子おらんかったら今だって烈と...」

なっ、なんの話ですかーーー!?
私必要ですか?なぜ召喚されたのですか...もう家に帰りたいです。復縁話なら勝手にやってください...

「なぁ、なまえちゃんは彼氏おるんか?」
『えっ、私ですか?!いや、いませんけど...?』
「なんや、じゃあこの南烈に気ぃあるんか?」
「バカお前なに聞いとんねん...!」

なんですと?南さんに気があるか?いや、それはもう先輩として尊敬してますけどそれが何か関係ありますか...?もうなんなの、大体なんで校門には警備員いるのに他校の生徒が簡単に入って来てるんだ...高校生でしょ?授業はないのか!!

『南さんはいつもカッコよくて尊敬している先輩のひとりです』
「...なぁーんや烈、全然相手にされてへんやないの」
「っるさいねんお前、さっさと帰れや!」

ギャーギャー言い合う2人に挟まれて耳が痛いです。なぜですかどんな仕打ちですか神さま...

『あの、私戻ってもいいですか...』
「待ちやなまえちゃん、アンタのせいでうちら別れたんは事実や」
『え?!なんで私のせい...?』
「決まっとるやろが、こんの烈がな、好きな子出来たゆうてうち振られてんねん」

え、南さんって好きな子いたの?!きゃあ!それはなんとも青春ですなぁ...ふむふむそれで?っておいおい痛いです誰ですか...アレ?!

「お取り込み中失礼ですけど、俺のなまえちゃんに何か用です?」
『...ぬぁっ、仙道くん!』
「...なぁに〜こんなイケメンな彼氏がおったんや!言うてくれればよかったやん」
『痛ッ?!』

元カノさんにバシッと叩かれてそのまま仙道くんに引っ張っていかれた。なんだ、なんだったんだ...?

「なまえちゃん、勉強教えてくれよ」
『あっ、あぁうん、わかった』
「サンキュ、助かるよ」

よくわからないけどまぁいいか。仙道くんの教室に一緒に入ればどことなく視線を感じてハッとした。そうだ、仙道くんと同じクラスと言えば...ギクッ!

「...中庭で騒いでたのは誰だろうなぁ」
『(ギクッ...)そ、宗ちゃん!こんにちはぁ...』

情報が早い...

「なんだよ神、俺が今から勉強教わるんだ、邪魔しないでくれ」
『そ、そういうことなので、じゃあ...』
「...ふーん、人に教えてばっかで随分余裕だね」

ギクリ...
だから俺に勝てないんだよってそういうことだよね?!いや、でも今回こそは私頑張ってるよ、絶対1位!...とれなくとも、差は縮めてみせるからね!

「ここ、わかんねぇんだよ」
『あーここはね、これを...』

視線を感じながらも仙道くんの勉強を見てあげました。仲間は放っておけません。うん、大丈夫。今日も平和だよ...多分。









不本意にも軽く振られた南を影で笑う岸本と仙道のスマートさに驚愕の藤真、そしてダブルでショックな南烈

(ハッハッハ、南ぃ、振られたなぁ!)
(黙れ岸本お前なになまえ呼んでんねん)
(修羅場になったらおもろいやんか!)
(性格最悪チョンマゲ男...)
(なんやて藤真ぁ!己も同罪やわ!)

(しっかし仙道のヤツ、イケメンだな...)





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