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「え?!なんでこうなるわけ?」
『だからぁ...ここがね、こうなるの』
「んぁっ?!スゲェ何これ裏技?!」
『...公式だよ、沢北』

だから何回言ったらわかるかなぁ〜?!
部活終わりにみんなで勉強しようって言われてそりゃテストも近いから自然な流れだけど私だって自分のわからないとこ教わりたいのに...!なんで沢北の家庭教師になってるんだ...大ちゃん後ろでずっと沢北睨んでるし、これじゃあ沢北教えた後は大ちゃんの家庭教師もやらなきゃじゃない?!

『これ、この公式使って解いてて』
「わかった...おい、どこ行くんだよ?」
『大ちゃんの勉強も見てあげないと...』

お、きたなまえ〜なんてニヤニヤしてる大ちゃんさっさと勉強始めなさい。隣の三井さんを見ればうーむ?と首をひねったまま固まっている。

『三井さん、これ、ここがこうなって...』
「ッるせーよ!俺は今わかってきてたとこで...!」
『あぁはい、すみませんでした』

あぁこの人そう言えば超プライド高くて面倒なんだった。下手なこと言えないな、ま、解いてる問題超初期レベルだけどなぁ...

「早く俺の教えろよなまえ〜」
『大ちゃんまずこれを覚えて』
「おっ、公式だな?」

みんなして数学苦手すぎだから。花形さんと赤木さんがいてくれたらよかったのに、自分で勉強するからってさっさと帰って行った。そりゃそうだ!私だってそうしたいですよ!

『これ使えば大半は解けるからね』
「なまえ出来たよー」
『お、沢北早いじゃん!』

どれどれと見に行こうとしたら大ちゃんにグッと腕を掴まれて頭にハテナが浮かんだ。なに、そんなに公式覚えるのつらい?!

「待ってなまえここにいろ」
『え?でも沢北の見てくるから...』
「いいよ沢北なんて、今俺の時間だろ」

よくわかんないうちに大ちゃんが痛ッ?!って大声あげて足をさすり出した。どうやら誰かに足を蹴られたらしい...

「すみません、足が滑って」
「ッテメェ!神...!卑怯だなお前...!」

体勢を変えた宗ちゃんの足が当たったらしい。宗ちゃん足長いからなぁ仕方ない。ガミガミ宗ちゃんに食ってかかる大ちゃん。完全に無視されてるけど。その隙に沢北の元へ行けば全問正解の答案用紙...!

『すごいじゃん沢北』
「やれば出来るんだよ俺、根は真面目なんだ」
『そりゃよかったよ教えた甲斐がある』

ほんっとね、私だって自分のことやりたいけどね?赤点から逃れてくれるならこっちも嬉しいですよ沢北も大ちゃんも授業ちゃんと聞いてれば成績良さそうなのになぁ...寝ちゃうからね、ダメなんだよ。

「...なまえ、ここ」
『おっ、福ちゃんどうしたの』

どれどれ、福ちゃん静かに問題解いてるなぁと思ったらなかなかの進み具合じゃないの!ふるふる震えながら教えて欲しそうな顔してる。あぁここね、これはこうして...アレッ?なぜか福ちゃんの奥の方から視線を感じると思ったらこりゃ宗ちゃんじゃないですかぁ...いるならみんなに教えてあげてほしいんだけどなぁ...頭いいくせに1人で黙々と勉強してないでほしいなぁ...家帰ってやればいいのになぁ...

「...なまえ」
『(ギクッ!)』
「何考えてるかお見通しだから」
『ごっ、ごめんなさい...』

何故だ、何故絡んでくるのだ...

その後たびたび怖い視線を感じながら勉強会はお開きになった。あぁ、宗ちゃん怖かったなぁ...私のこと睨みにきたのかな...

帰る支度をしてみんなで校門を出た。ずいぶん遅くまで頑張ってたようでもう8時を過ぎていた。まぁ部活の時もこれくらいだけど。

「なぁ諸星、俺ん家でメシ食ってくか?」
「いいのか三井!三井んち母さんのメシ美味いんだよな」
「なぜかお前のこと気に入ってんだよな、あ、なまえも来るか?」
『えっ、私もいいんですか...?』
「おう、母さんがすげぇ会いたがってんだよ」
『三井さんのお母様...!』

なにそれ嬉しい!確かに部員のみんなの家族に会ったこと何度もあるけど三井さん家はあんまり面識ないなぁ...へへへ、三井さんのお母さんだから美形なんだろうなぁ...

「帰りは俺が送ってくよ、行こうぜ」
『はい!お願いします!』

大ちゃんがそう言って手招きしてくれてちょこちょこついていこうとすればグッと腕を掴まれて思わず転びそうになった。な、なんだ?!痛い...!

「...後ろ、乗って」
『そっ、宗ちゃん...?!い、痛いよッ...!』
「いいから乗れ」

聞いたことないような低い声でそう言われ、ついでに目で制されて宗ちゃんが押している自転車の後ろにおとなしく乗っておいた。こ、こわい、宗ちゃん史上最高に怖い...

「んだよ神!今から三井ん家行くって聞いてたろ」
「...何時だと思ってるんですか?ただでさえ自分たちの勉強に付き合わせておいて」
「...何が言いてーんだ」

食ってかかる大ちゃんに今日は言い返してる宗ちゃん...どうしたんだろうめっちゃ怖いんだけど...?!なんでこんな機嫌悪いの...

「家の人だって心配するでしょう、俺が送っていきます」
「...ハイハイ、わーったよ、なまえまた今度な」
『...は、はい』

ヒラヒラ手を振られ宗ちゃんの後ろに乗ったまま自転車は動き出した。ガタガタ動くのが怖くてギュッと宗ちゃんに抱きついたら何故か満足そうな笑いが聞こえてきた。よ、よかった、気持ち悪がられるかと思った...

『そ、そ、宗ちゃん!』
「ん?」

とりあえず宗ちゃんにお礼言わなきゃだよね!だって私の親のことまで心配してくれたわけだし...何はともあれありがとうだよね...!

『あ、あの、...おっ、重くない?』
「信長より軽いから平気だよ」
『の、信長ね、よかった...』

私と信長を比べるんだ?!
ていうか、何でそんな言葉が口から出ちゃうかな私の馬鹿!言いたいのはそれじゃないって...もう...

「なまえ簡単に男の家に上がろうとしちゃダメだよ」
『...なんか言った?』
「だから!簡単に男の家に...おっと!」
『わっ!』
「ごめん、大丈夫だった?」

何か宗ちゃんが話してたけど聞こえなくて、そしたら急にガタンッて揺れて思わず思いっきり宗ちゃんに抱きついた。ギュッと力がこもりそのまま私の頭が宗ちゃんの背中にピタッとくっついて...あぁ、あったかい、この匂い、落ち着くなぁ...なんか宗ちゃんの心臓音すごい速いな...もしかしてやっぱり私重いのかな?自転車漕ぐの大変で...あぁ、申し訳ないけどでもこの鼓動が気持ちいい...完全に頭離すタイミング逃したぁぁ...今日疲れたなぁ...

「...なまえ、次のテストも負けないからね」
『......』
「なまえ?もしかして...寝た?」
『......』
「ハァ、人の気も知らないで...可愛い奴め」












どうしてこんなに俺をドキドキさせるんだ無意識のくせに...

(...ギュッとしすぎだよ、爆発しそう)
(てか後ろで寝るなよ危ないなぁ...)





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