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『花形さん、赤木さん、いますか?』

そっと顔を出して声をかければピョン吉にギッと睨まれた気がしたけど無視してお目当ての人物2人と目が合った。あぁ、よかった。いたいた。

「どうした?なまえ」

赤木さんの机に近寄れば花形さんは席を立って近くに来てくれた。あぁ紳士、優しい。この2人、最高。

『ここの問題教えてもらえませんか?花形さんはこれ』
「どれどれ、ふむふむ」
「あぁこれは少し難しいかもな」

2人とも本当に頭が良くて勉強出来るからいつもテスト前はお世話になってます!私はこれでも勉強は得意な方でして学年順位はいつだって2位!あ、1位?そんなの決まってるでしょう、何を隠そうバスケ部のスター宗ちゃんでございます。

『今度のテストはどうしても宗ちゃんに勝ちたくて...』
「神か、アイツすごいからな、頑張れよ」

あぁ、優しく頭撫でられた。花形さん最高。VIVA透!ってニヤニヤしてたら隣から頭叩かれたんだけど?!なに?!痛いんだけど!

『痛ッ...』
「ニヤニヤして気持ち悪いピョン」
『ゲ、ピョン吉』
「誰がピョン吉だピョン」
『イタタッ!ひどいひどい!暴力反対!』

あ〜忘れてた。このクラスにはピョン吉と河田さんもいたんだった...紳士2人だけじゃなかったんだった、私としたことが!にしてもピョン吉すごい力だな全く...

「頑張ったって神には勝てないピョン」
『うるさい、やってみなきゃわからないピョン』
「...なまえ、覚悟するベシッ、ピョン!」

ま、間違えるのかそこーーー!
突然追いかけてくるから紳士2人にまた来ることを伝えて勢いよく廊下へ飛び出すと誰かの胸にそのままダイブしてしまった。うわぁすみません!私なんかが突然飛び出してきてさぞご迷惑を...アレ?この匂い嗅いだことあるぞ...?!

「おっ、危ない...なまえか?」
『ま、牧さん!牧さん!助けてください!ピョン吉が!』
「ピョンき...あぁ、深津じゃないか」
「牧、ソイツを俺によこすピョン」
『ぎゃぁぁやめてぇ!牧さんすみません!』

くるっと牧さんの背中に回ると牧さんを挟んでピョン吉と向かい合う形になり右から来るのか左から来るのか...うわっ、さすがのフットワーク!!伊達にバスケ部じゃないなこの人...うわぁ捕まるっ!

「おっなまえじゃ〜ん!何してんだこんなとこで」
『その声は大ちゃんですね?!』
「大ちゃん呼びヤメロ!で?何してんだ深津も牧も」

とりあえず一緒に購買行こうぜと腕を引かれ、対深津ピョン吉は一旦休戦となった。ふぅ、助かったよ大ちゃんありがとう!

『大ちゃん助かりました!ありがとうございます』
「?いいけど、なんか奢ってやるよイチゴミルクか?」
『今日の気分はミルクティーです!』
「オッケー!マジ今日だるいんだよ授業がさぁ」

大ちゃんこと諸星さんはいつもこんな感じで少しチャラさを感じるもののバスケとなれば人一倍スピード速くてなんでも出来ちゃうオールマイティーな感じで...あ、勉強は苦手らしいピョン。ピョン...っ?!

...ピョン吉の呪いが...!

「なぁ今回も一緒にテスト勉しようぜ」
『いいですけどちゃんと話し聞いてくださいよ?』
「わーってるよ!なまえの説明が1番聞き取りやすい」

俺の耳に1番馴染むとかなんとか言われてそりゃありがたいけど大ちゃんいつも一緒にテスト勉するけど私がなぜか教える立場でハイハイってニヤニヤしながら頷いてるだけだからなぁ、何がそんなに楽しいだか?

「いやぁでも前回なまえのおかげで点良かったんだよな俺」
『本当ですか?!そういうのは早く言わないと』
「いやぁ〜愛の力かなぁ...なんつって」
『ゲ!購買にピョン吉いるし...光の速さ!』
「おい今の聞いてた?ちょっ、どこ行くんだよ!」
『ミルクティー2年1組に届けてください!』

ピョン吉にバレる前にいっそいで教室に戻った。あ、参考書は赤木さんの机に置きっぱなしだしミルクティー貰いそびれたし何しに行ったんや?あぁ全てピョン吉のせいだ。

『あんのピョン吉め...』
「何怖い顔してんだよ面白い奴だな」
『あ、越野くんおはよう』
「うっす、どこ行くんだ?」

偶然にも教室へ戻るという同じ目的を持った越野くんと遭遇して一緒に廊下を歩いた。いや、本当に何だったんだこの休み時間。越野くんって私と背同じくらいだけど随分ガッチリした体つきになったなぁ。去年はもっとこう、ヒョロッと...

「それじゃ、俺先に行くから」
『えっ?あっ、うん』
「並んでるとこ見られたら後が怖いから、じゃあな!」

ある程度クラスに近付くと越野くんはぶつぶつ呟いて走って行った。あ、宗ちゃんだ。廊下に宗ちゃんがいる。あ、あれ?女子に話しかけられてる...!宗ちゃんもモテるもんなぁ、冷たいけど顔もいいしね、努力家だし頭いいし、冷たいけどね!

そっと脇を通れば何故か冷たいヒンヤリとした視線を感じたけど無視無視。なんで?今女子と話してるでしょう?

「...なまえ」
『?!』

ギクッとして振り向けば、あれ?もう女子はいない...真顔の宗ちゃんと目があった。ヒェェェ、体感温度マイナスだわ。

「...何考えてた今」
『あっ、あぁ、宗ちゃんモテるなぁ...って』
「別にモテてない勘違いしないで」

ふぁっ?!今の何?
なんかまた悪態つかれるのかと思ったらフンッてして教室に戻って行ったけど...?そんな態度あるの?宗ちゃんと言えばいっつも棘のある言葉が並んで...

いや、いいんだそれで。
無事だったんだから、よしとしよう!って、無事って言っていいのかな、これ、全部ピョン吉のせいだ!











勘違いしないでキミだけ見てるからって意味だったんだけどね

(言えるわけないし伝わるわけないよなぁ)





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