海南





「おぉ?!バスケ部かぁ?!」
「いいねぇ青春じゃぁん、大きいねぇ!」

遠征帰り、暗い夜道を海南のメンバーがぞろぞろと歩く。1人、また1人と別れていく中で牧神清田とマネージャーのなまえの4人は最後まで残り、男たちが先になまえの家まで送っていく流れになっていた。その道中、少し明るい繁華街を通ると案の定酔っ払いに絡まれたがそんなのは無視して歩みを止めずにいた。しかし酔っ払いも自分たちより若い奴らに無視されたのに腹を立てたのか”おい”低い声でそう言い4人の前にズンと立ちはだかったのである。

「無視すんのかぁ?!いい度胸だな?」
「やんならやんぞ〜?お、美人の姉ちゃん発見!」

なまえを指差しフラフラと覚束ない足取りで近づいてくる酔っ払いからなまえを守るため牧と神はさっと自分たちの後ろに彼女を隠し壁となった。

「おい、どけよ美人が見えねーだろぉ?」
「どけっつってんの聞こえねーのか?」

ハァ、面倒だ。
牧と神は手っ取り早く走って逃げることを考えそっと後ろでビクついてる清田となまえに耳打ちしようと振り返ったその時、ガッと神の肩が掴まれ目の前の男が拳を振りかざしたのだった。

「じっ!神さんっ!」

その様子を見ていた清田が叫ぶと同時にその振りかざした手をガッと掴み反対側へグリグリ捻る人物がいた。聞いたことのないような腕が捻られた音が聞こえてきてもう1人の酔っ払い男は目が覚めたのか目を丸くして驚いている。

『宗ちゃんに触んなこのカスが』

聞いたことのないような声でそう言ったのはなまえであった。牧神清田の3人は驚愕し青ざめていた。

あまりの痛さにやられた男は酔いが覚めたのかキッとなまえを睨むととにかく仕返しのために自分が持っていたカバンを振り上げたがそんなことしている間に腕を取られなまえに思いっきり背負い投げされたのである。そして見ていた隣の男をキッと睨めばそいつは慌てて繁華街の中を走って逃げて行ったのだった。

『ふざけんな馬鹿野郎』

遠征が相当疲れたのか荒い口調で下に転がっていた男の鞄を蹴飛ばすと声も出ない倒れた男に向かってそう吐き捨ててなまえは先頭を歩き出した。呆気にとられた3人であったがなまえを家に送り届ける任務があるため急いでついて行ったのである。

「なまえ」
『どうしたの?宗ちゃん』
「さっきはありがとう」

なぜか止まらないドキドキを抱えたまま神がそう呟くとなまえはいつもの笑顔でニコッと笑った。

『宗ちゃんに怪我がなくてよかった』
「なまえは?大丈夫だった?」
『私は平気だよ慣れてるから』

な、慣れてる?!
3人はさらに胸をドキドキさせながら同じ疑問を持った。なんで喧嘩に慣れてるんだ?!こんなに見た目可愛くて細くてthe女の子!って感じなのに...?!そんな言葉が顔に出ていたようでなまえはクスッと笑った。

『武道習ってたんだ、柔道空手合気道とか』
「なまえさん、めっちゃかっこよかったっす...!」
『ありがとうノブ、怪我がなくて良かったよ』

いい子いい子と口に出しながら清田の頭を撫でるといつもの犬のような表情をする清田。なまえはクールそうに見えて内心ドキドキしていたのだ。

もしかしたらみんなにドン引きされたんじゃないかとそう思いながら...

そして神は違う意味で胸の高鳴りが止まらなかった。なに今の、超かっこいいじゃん。もっと惚れたよ...なまえ...















強い女?なにそれ最高じゃん!

(ヤバ、本当に好き)







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