A
『アレンくん?本当に大丈夫?』
心配そうな顔のアオイさんと目があい、慌てて首をたてに振る
「えぇ、すみません…。少しぼーっとしてました」
『任務で疲れてるなら横になってもいいのよ?』
アオイさんは協力者(サポーター)としてこの花屋を営みながらも情報や寝床の提供をしているから、僕がエクソシストだということももちろん知っている
「いえ、本当に何でもないですよ」
『ならいいのだけど…無理だけはしないでね』
僕より少し年上のアオイさんにとって、僕はたぶん弟ぐらいにしか思われていない
神田やラビたちと同じ、手のかかる弟的存在……最初はそれでも構わなかった
あの人の側にいられるのならば、と
だが今ではその"弟的存在"では満足できなくなった
いつも見せてくれる笑顔だけではなく、泣いた顔や怒った顔も見せて欲しい、そう思うようになっていった
「……アオイ、さん」
この想いを告げたら彼女のあの柔らかな笑顔はもう見れなくなってしまうのだろうか?
だけど、前に進まなければ何も変わらない
たとえ前に進んだことによってこの笑顔が失われようと、諦めずに前に進めばまた見れるはず
『なぁに?』
小首をかしげ、花に水をあげていた手を休めたアオイさんの目をまっすぐに見つめ、小さく深呼吸をして
「僕は───…」
ゆっくりと口をひらいた
大好きなんです(彼女は今も僕に笑ってくれてます)
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[mokuji]
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