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05





「……キミ以外の人間にやって欲しくなかったんだ」


まるで子供のような言い訳を口にするアキラに、朱音は大きなため息をこぼす


『もう私のことなんて忘れてくれていいのに…』


「忘れる…?忘れれるならもうとっくの昔に忘れてるさ」


何の予兆もなく突然いなくなった時に全身が冷たくなる程の絶望を味わい、こうして逢えただけで満ち足りた気持ちを抱ける彼女のことを忘れられるわけがなかった


「だけど……っ!!」


言葉は続かず、代わりに強く朱音を抱きしめる

それを嫌がることはせず、抱きついていた腕に僅かに力をこめる


『…相変わらずだね、アキ』


昔の呼び方でアキラを呼ぶ


『だけど……悪いけど今回、私は"中立"よ』


ベヒーモスにも小鳥丸にも、どちら側にもつかない、ただの第三者


『そして、私はもうアキの調律をしてあげることはできない……元々"調律者"でもなかったんだけどね』


「"金色"…、」


『私は……うぅん、怪我…しないようにね?』


咢もアキも、応援することはできない立場からの、これが精一杯のエールだった

アキラもそれを理解したから、静かに朱音を離す


『……ありがとう』


そんな顔しないで?アキ……これは私のワガママなのだから―――


『……それじゃあ皆さん、またね』


ワケが分からないといった表情のイッキたちに小さく笑みを浮かべた後、小さなホイール音を響かして彼女の姿は遠くなっていく


カシュンッ


その後ろ姿が見えなくなるまで見送った後、アキラは咢に宣戦布告する


「……咢、俺は絶対に負けない」


王璽も、"金色"も―――お前には渡さない


「ファック!望むところだ…!」


咢はジッとアキラを見つめる

―――"金色"…いや朱音は渡さないし、王璽は返してもらうぜ、アキラ!



戦は10日後、満月の夜




繋がる関係性
(過去が紡ぐ現在へと)

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