01 yu side
ぶっちゃけ、死ぬんじゃないかと思った。
セクハラまがいのことをされたかと思えばいきなり腕を掴まれて、変な単語を喋ったなと思った瞬間、いきなり視界が変わった。
見渡す限りの木木木から一転して都会っぽい雰囲気を出している、賑やかそうな都市に俺らは立っていた。
だけど――非常に、気持ち悪い。
「おいおい、しっかりしてくれよ。そこまでになる程気持ち悪くはねェだろ」
「う、っ」
「あ、おい絶対に吐くなよ!!」
例えるなら高層ビル並の高さのジェットコースターで垂直に落ちていく瞬間だろう。
あの心臓がふわっと浮く、独特の気持ち悪さ……そうでなくても絶叫系はあまり得意じゃなかったのに。
「カ、カナタ…さんは、平気…なんスか…?」
「平気ってわけじゃねーけど、もう慣れたな」
「慣れ…うえっ」
「ぜってーに吐くなよ。大体俺達の移動手段はほとんどコレだ。早く慣れないと毎回こんな目にあうことになるからな」
今の俺にとっては悪魔の宣告のようなことを言いながらカナタさんは綺麗な銀髪を乱雑にかきあげた。
その様子から見て彼もコレはあんまり好きではないことはわかる。
しばらく時間をおき、ようやく吐き気が去っていったとき、俺はようやく周りを見渡す余裕がでてきた。
「こ、こは……」
「リスタント。けっこう大きな都市で流通が発達して便利だし、俺が使うギルドもここにある」
「ギルド…?」
なんかゲームの世界のような言葉が出てきた。
「簡単に言えば依頼仲介所。俺のようなフリーな奴らはみんなここで依頼をもらい、遂行して報酬をもらってる」
なんだかんだ面倒くさそうにしてるわりにはカナタさんはちゃんと分かるように説明してくれた。
。
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