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「すごいねぇお姉さん!あんなバケモノを一瞬で倒しちゃうなんて!」
そこにいたのは、どこか空々しい拍手をするまだ幼さの残る少年だった
10歳前後に見える少年を前に、警戒心を強める愛結
アクマを相手にしていたとは言え、その気配に私が気付けないはずがない
「そんなにケーカイしないでよ?」
ずっとニコニコと笑みを浮かべているが、笑い方はどこか人工的だ
『………誰?』
「あぁ、僕たちハジメマシテだよね。僕はシルフ・スティーブ。―――君と同じ雪の守護者候補だよ、エクソシストの高井愛結さん?」
少年…シルフの言葉に目を見開く
動揺が隠せず、すぐに言葉を紡ぐことができない
そんな愛結を楽しげな笑みを"作って"、嗤う
「何故、って顔してる。答えは簡単さ、僕もエクソシストだからだよ」
『な…、』
「少しお話しようよ。"裏切り者"の高井愛結さん?」
―――ずっと恐れてきた日が、きてしまった
『…私を、追ってきたの?』
疑問を口にしながらも、油断なく武器を構える
もし首を縦に振るのなら――私は、このまだ幼い少年を殺さなければならない
「あぁ、違う違う。それは僕の任務じゃないし」
そんな愛結の緊張を肌で感じ取りながら、どこか狂気じみた笑みを浮かべる
「僕はねぇ、ただ単純に興味があったんだぁ……たった1人で1つの支部を壊滅状態にしたキミの力をね!」
『……え…?』
何、それ……
あの時は、ただ必死に逃げただけで教団の人間は誰ひとりとして傷つけた覚えはない
『どういう……!私は何もやってない!!』
「は?何言ってんの?言い訳するなんて見苦しいよ」
『だから、本当に…!』
「僕が、」
違う、と続けるはずだった言葉を遮り、シルフは哂う
「僕が知ってるのは、高井愛結が支部を壊滅させた。死者推定500名。そして、現在行方をくらまし逃亡中」
。
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