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「…で、キミは何で学校にいるんだい?」
だいぶ脱線した話を元に戻し、雲雀が口にした質問に愛結はかるく笑う
『いや、適当に歩いてたら学校まで来てて…で、学校なら恭弥がいるかなーって思って』
「ふーん……」
気のせいか…どこか楽しげな表情を浮かべている雲雀に、嫌な予感を察知する
「ねぇ、愛結」
『な、なんでしょう?』
どんどん距離を縮めてくる彼とは反対に、どんどん後ろに下がっていく愛結
とん、という軽い衝撃を背中に感じ、追い詰められたことを悟る
ニヤリと楽しいといわんばかりの笑みと共に言われた言葉に、愛結は目を見張った
「僕と勝負しよっか」
『…は?』
冗談だろうと彼の顔を見るも、先程の発言を撤回する様子はない
一回キミとは戦ってみたかったんだよね、なんて言われても嬉しくない
『…え、まさか本気?』
「嘘は嫌いなんだ。いくよ」
『え、あ、ちょ…っ!』
時間稼ぎも説得も失敗し、躊躇なく彼の武器であるトンファーが振り下ろされた
迫りくるそれに、反射的に後ろに飛びずさったことで事なき事を得るが……逆に、興味を持たれたようだ
「へぇ……」
「お、おい恭弥!落ち着けって!!」
「外野は黙っててもらえる」
慌てて止めようとするディーノを、邪魔するなと言わんばかりの目で睨む雲雀
ディーノが心配そうな目で愛結を見ているのが、気に食わない
先に愛結を見つけたのは自分だというのに、横からエモノを横取りされるのはムカツク
『大丈夫だよ、ディーノ!』
のんきに笑いかけている愛結を見て、更に苛立つ
――キミは、僕のでしょ
他のヤツなんかに構う暇なんて、なければいい
。
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