悲しき詩 | ナノ




14:



「…で、キミは何で学校にいるんだい?」


だいぶ脱線した話を元に戻し、雲雀が口にした質問に愛結はかるく笑う


『いや、適当に歩いてたら学校まで来てて…で、学校なら恭弥がいるかなーって思って』


「ふーん……」


気のせいか…どこか楽しげな表情を浮かべている雲雀に、嫌な予感を察知する


「ねぇ、愛結」


『な、なんでしょう?』


どんどん距離を縮めてくる彼とは反対に、どんどん後ろに下がっていく愛結

とん、という軽い衝撃を背中に感じ、追い詰められたことを悟る

ニヤリと楽しいといわんばかりの笑みと共に言われた言葉に、愛結は目を見張った


「僕と勝負しよっか」


『…は?』


冗談だろうと彼の顔を見るも、先程の発言を撤回する様子はない

一回キミとは戦ってみたかったんだよね、なんて言われても嬉しくない


『…え、まさか本気?』


「嘘は嫌いなんだ。いくよ」


『え、あ、ちょ…っ!』


時間稼ぎも説得も失敗し、躊躇なく彼の武器であるトンファーが振り下ろされた

迫りくるそれに、反射的に後ろに飛びずさったことで事なき事を得るが……逆に、興味を持たれたようだ


「へぇ……」


「お、おい恭弥!落ち着けって!!」


「外野は黙っててもらえる」


慌てて止めようとするディーノを、邪魔するなと言わんばかりの目で睨む雲雀

ディーノが心配そうな目で愛結を見ているのが、気に食わない

先に愛結を見つけたのは自分だというのに、横からエモノを横取りされるのはムカツク


『大丈夫だよ、ディーノ!』


のんきに笑いかけている愛結を見て、更に苛立つ

――キミは、僕のでしょ

他のヤツなんかに構う暇なんて、なければいい






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