悲しき詩 | ナノ




09:**




「ね、ねぇ愛結はどこにいるの?オレたちよりも先にコッチに来てると思ったんだけど…」


ランボの10年バズーカーに当たり、気付いたら深い森の中にある棺桶の中にいたツナ

10年後の獄寺に会ったのだが……意味深な言葉と、"入江正一"という人物の名を残して10年前の獄寺と入れ替わってしまった

"守護者は全員集合"――そう書かれた暗号文を頼りに取りあえず行動を始めた時に会った女性、ラル・ミルチ

そこで知った、10年後の世界での戦闘に不可欠な武器、"指輪"と"匣"の存在

敵に見つかり、絶体絶命かと思われた時に現れたのは――10年後の山本武

彼に案内されて向かった先にある秘密基地、そこには行方不明だったリボーンもいた

行方を捜していたリボーンの姿を見てようやく、少しだけ余裕を取り戻したツナは、あの見慣れた赤髪が見えないことに気付き、冒頭の言葉を発したのだった


「そういえば姿が見えませんね…まだここに来てないのかもしれません」


「そっか、オレたちは暗号文とかラル・ミルチさん、それに山本がいたけど……」


「―――あの女がいるはずないだろ」


ツナの言葉を遮ったのは、ラル・ミルチの言葉だった

苦々しげに顔をしかめたその姿から、とても友好的な空気が感じられない


「え、どういう……」


「…そうか、10年前はまだ呑気に友人面していたのだな、あの女は」


刺刺しい言葉に、嫌な予感が募る

この空気を、少し前まで嫌と言う程感じていたから、余計に不安になる


「、愛結ちゃん、は…?」


「あの女はボンゴレを裏切った。高井愛結が裏切らなければ、ここまで壊滅的な状況にはならなかっただろうな」


愛結が、裏切った、?


「……そ、そんなわけないでしょ!愛結ちゃんが裏切るとか…!」


あんなに自分を守る為に必死になって戦ってくれた愛結が裏切るだなんて想像すらできない

教団での、ユミの一件があってそういう"裏切り"には特にひどい目にあってきた彼女が、そんなこと……


「自分の言うことが信じられないというのなら山本武に聞けばいいだろう?」


「そ、そうだよ!山本、そんなの嘘、だよね…?」


「……」


山本は目を伏せたまま、何も語らない

――暗にラル・ミルチの言うことを肯定した山本に、ツナは言葉を失った






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