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―――祭り当日
「トシ 総悟のやつがウンコしに行くって言ったっきり全然戻らんのだが」
「あの野郎。またサボってやがるな」
将軍の警護にあたりながら近藤は沖田が戻らないことを指摘した。土方はいつも通りの沖田の行動に怒るかも起きなかった。
「トシ。他の誰を疑おうが構わんが仲間を疑うことは俺が許さん。俺は総悟を信じる。きっとウンコのキレがものものすごく悪いんだ。俺はそう信じたい。」
「そんな信じ方されるぐらいなら疑われた方がマシだと思いますが…」
近藤の仲間の信じ方に凛は若干引いた。
「しっかし、山崎の野郎おせーなァ」
「なんだ?」
「たこ焼きが食いてーってお上がよ。ったく呑気なもんだぜ」
そう土方と近藤が話していると、噂の山崎が戻ってきた。
「副長ぉぉぉ!!山崎ただいま戻りましたー!!」
「おせーぞ!マヨネーズもちゃんとつけてもらっただろーな」
そう言い、土方が箱を開けると、ほとんどたこ焼きは残っていなかった。
「実は、急いでたもんで途中すっ転んでぶちまけちまいました。すみません。山崎退、一生の不覚。」
「そーか。俺ァ口元の青のりの方が一生の不覚だと思うがな」
そしていつも通りの鬼ごっこと言う名の一方的な粛清を横目で見ながら、近藤とともに残ったたこ焼きの処理を始めた。
「そうカリカリするな、トシ。今日は祭りだ」
「そうはいかねー!高杉の野郎には思想も何もねー。騒ぎを起こすこと自体をる楽しんでる。そんな奴がこんなでけー祭りの場を見逃すわけねー。」
あの人は思想とかこの国を憂いているわけじゃない。あの人の見ている先は…と土方の言葉を聞きながら凛はまだ唯一再会していない兄のことを考えていた。
「篠崎!!」
「は、はい!」
凛の思考を打ち切るように、土方が呼んだ。どうやらずっと呼ばれていたようだ。
「篠崎、珍しいな。具合でも悪いのか?」
「いえ、大丈夫です。それよりどうしたんですか?」
「ああ。ちょっと総悟探してきてくれないか?あいつ携帯に全然出やしねー。」
土方は携帯片手に苛ついていた。
「はい。わかりました。」
凛はすぐに沖田の捜索に向かった。
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