3
「置いていかないで!」
そう縋るような大きい声を出しながら女は目を覚ました。女の右手は空虚を掴んでいた。
「…夢か。」
そう呟き、少しの間右手を見つめたが、すぐに布団から起き上がり、支度を始めた。
女は黒い制服に身を包み、艶のある黒髪をお団子にしてポニーテールのように流した。そして支度を終えた彼女は自室を後にした。
彼女の名前は篠崎凛。
顔立ちは綺麗めな美人で、身体も出るところは出て、締まるところは締まり、その姿は華がある。聡明な見た目の中に色香が混じっていた。しかし、よく見てみるとそんな女性からは想像もつかない物が左腰に挿してあった。
刀である。
そう。女が所属していたのは、特殊警察真選組。副局長補佐を勤めていた。
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